中国レポート
中国広東省(回南天)
中国の広東省中山市も2月後半になって寒さも和らぎ、時々20℃を越える事も多く
なって来ていますが、春節明けには景気が回復するとの予想に反して、経済状況が急激
に回復する兆候は見られず、何となく引き合いは増えてきているかなと言う感じのようです。
今回のレポートは、ちょうど今の時期に広東省地区で見られる気象現象に関して少し
ご紹介しますが、冬の冷気が去って、急激に暑くなる前の時期の低温・高温を繰り返し
ている時期に高湿度の気流が入り込み、地表や建物の温度がまだ冷えている段階で、
気温が上昇して湿度が高くなることで現れる、中国・華南地方の春に見られる独特な気
象現象で、気象用語で「回南天」と言うのだそうです。
この現象はつい最近まで、気温も10℃~15℃くらいで湿度が40%位で室内では加
湿器を使っていた状況から、雨の日が少し多くなって来て日中の気温が急激に20℃を
越える日が出始めたころ、朝起きるとマンションからの外の景色は霧で覆われ何も見えな
い、出かけるのにエレベーターホールの大理石(陶板)の床は、水をまいたようになっており、
ひどいときは視界が10m以下、さすがに車道は車の熱と風で乾いていますが、特に室内
の陶板の床やコンクリートの塗り壁や天井にも結露が出て、長引けばカビの心配が出てき
ます。
長いと1週間以上このような気候が続くのですが、湿度は晴れていても80%~90%を
維持しており、最悪なのは洗濯ものが全く乾かないので、カビが生えるのではないかと思う
ほどの状況になります。
不思議なのは、数年前までは家電展で除湿器がまったく売られていない事だったのです
が、最近少しずつ家庭用のものが販売され始めて、広東省でも暖房器具や冷暖のエアコ
ン・加湿器・除湿器・空気清浄機がこれからの家電の中心を締めて行くと思います。
広東省においては、今では冷房設備は必需品ですが、一年のうち暖房が必要だと思え
る期間は、1週間から3週間位、加湿器が必要と思われる時期も1~3週間、除湿器が
必要と思われる期間も1~3週間と、年によってばらつきがあるのと、我慢できない範囲で
はないので、これまではクーラーは売っているけど、暖房つきのエアコンはほとんど売っていな
い、加湿器や除湿器はほとんど見かけない、空気清浄機なんて見たこともないと、5年くら
い前まではそうだったのですが、ここのところ冬季の気温が以前に比較して下がって来た事や、
賃金上昇や富裕層が増えてきている事も有るのでしょうが、タイミング良く家電量販店には、
エアコン・加湿器・除湿器が並ぶようになってきて、空気清浄機も日本メーカーが販売し始
めています。
今後、マンションの壁や床の構造もコンクリートで仕切られた空間に厚化粧しただけの物
から、断熱・通気を考えた密閉度を上げた構造や換気システム等取り入れられた物に変わ
っていくと思われる状況にもなってきているのではないかと思います。
中国の冷え切った経済状態も、日本と違って、潜在需要はまだまだ有る状況においての
金融引き締めの影響が大きいと考えていますが、精一機械においても、これまでフローリング
の塗装設備を中心に営業活動と製造・販売を進めてきましたが、今後地方都市も含めて
設備投資が行われるだろうと思われる業界において、精一機械ができる事と、日本において
私たちが製造販売してきた物で、中国でこれから受け入れられる可能性のある設備が何な
のかを考えて、営業活動を進めていく必要が有るのではないかと思っています。
2012年3月10日
車田 修