中国レポート
四川省・成都~楽山市訪問(内陸部の工業化)
日本は真夏の猛暑が和らぎ朝夕は名古屋でも20℃位まで下がって、少し過ごしや
すくなってきましたが、中国広東省中山市は未だ今月末までは30℃を超える日が続き、
最低気温も25℃以上の真夏の気温となっています。
先月、四川省の成都から車で1時間30分の所にある「乐山市(le shan shi)」日
本の漢字では[楽山市]に在る精一機械の客先を訪問してきました。
ここを訪問するのは2回目なのですが、山地なので少しは涼しいかと思ったのですが、
四川省の典型的な盆地気候なのか日中は蒸し暑く、広東省の気温と変わらない位の
気候です。
2008年5月12日に発生した四川大地震は成都から北の方角にある汶川地区が
中心だった為、成都やその南に位置する楽山市では大きな被害等はなかったようです
が、成都の空港では巨大な新しいターミナルを現在建設中で、その空港の周りの工業
地区にも工場が建設されつつあり、中国内陸地域における開発が急ピッチで進められて
いる様子が解る地域です。
私が今回訪問した楽山市は基本的に観光地であり、工業等の開発はあまり進んでお
らず、懐かしい中国の風景や街並みが見られる地域です。
ここの観光の中心は楽山大仏(正式には凌雲大仏)と言って、岷江に臨む栖鸞峰の
岩壁に彫られた世界最大の石刻座仏で、1200年前に作られた高さ71mもある巨大な
ものとの事です。
私が訪問した2回とも時間が取れなくてそばを通っただけなのですが、近くにはお寺も多
く点在しており、次回時間を作ってのぞいてみたいと思っています。
仕事の方はこの地区のセメント会社が二次製品として、波型スレートや繊維セメント平
板の製造をしているのですが、より付加価値のある商品を製造する目的で、UV転写フィ
ルムを使用した印刷塗装ラインを新設しています。
ビルや公共施設の内装板・外装板を提供する目的での新設ラインですが、工場が35
0Mの長さが有るので、全て直線ライン(全長約150Mと100Mの2ライン)で構成され
た設備です。
木質フローリングのように軽量な建材では無いので、当然バキュームキャリアでの自動投
入装置や、自動での保護フィルム貼り、積載装置がそろった、かなりレベルの高い自動印
刷・塗装ラインとなっています。
今後も、四川省の工業化の流れの中でこのような建材メーカーの設備投資が行われて
いくと考えていますが、四川省では大手の家具の製造工場が中国国内でも多い事で知
られており、精一機械も地元の塗料メーカーとタイアップしながら、UV系の塗装ラインや、
家具部材用のウレタン系塗料の3軸+1自動スプレー塗装装置を2年ほど前から、十数
台納入していますが、より複雑な形状の商品に対応する為の塗装ロボットによる塗装シ
ステムを売り込む事に成功して、現在日本メーカー製のロボットを20台程度発注したよう
で、来年は年間に40台程度の販売を見込んでいると言っています。
前回の東北吉林省の件や、今回の四川省の訪問で、中国の内陸部においても工業
化が急速に進んできている事が実感できていますが、中国での人件費の高騰と沿岸部で
の人手不足が益々加速される背景に、このような内陸部での工業化が有る事は間違い
ないようです。
今後省力化に関する設備投資が増えて行くと考えていますが、これは中国で生産され
る工業製品の品質の向上に大きく影響することになるでしょう。
2011年09月10日
車田 修