中国レポート
中国高速鉄道事故
先月23日に発生した中国浙江省温州市の高速鉄道事故は、起こるべきして起きた
と言われていますが、2007年上海~蘇州の最初の開業から約4年で総延長約10,00
0kmを完成させた中国の経済発展を象徴する事業が、ここに来て急ブレーキがかかる事
は間違いないようです。
中国独自の技術として、アメリカの特許申請まですると発表していた意気込みは今後
どのようになっていくか解りませんが、日本人の多くの人は今回の事故を冷めた感情で受
け止めていると思います。
しかしながら、日本においても2005年のJR福知山線の事故等、過去に大きな鉄道
事故を起こしている事、JALの飛行機事故、今まさに進行中の原発事故(津波・地震
だけの責任とは言えない)等、世界で一番安全に考慮してあったはずの日本においても、
人災と言える原因での大事故が起きて、多くの人名が犠牲になっている現実が有ること
を忘れてはならないと思います。
私も2回程中国の高速鉄道に乗車しましたが、上海~蘇州間の一番安定した区間
で、日本の新幹線の雰囲気を保っている関係から違和感もなく、日本の無事故を誇る
新幹線と同等だと信じて今回のような事故を想定することもなかったのですが、その後の
ニュースで手抜き工事が発覚したとか、故障・トラブルが相次いで起きている事、中国鉄
道省の賄賂疑惑が、局長を初めとして組織的に広がっている報道から、あまり積極的に
乗りたくない気分なのですが、飛行機よりは安全かもしれないと考えていた矢先の事故
発生でした。
最近、中国国内での移動が増えてきている関係から、各地の高速鉄道に乗る機械も
増えてくると思いますが、個人的に防衛する手段もなく運を天に任せる以外に方法は無
いようです。
隣国の一党独裁政治が行き詰まって行く状況を心配するよりも、震災に追い打ちを掛
けるように、円高が進行して1US$が77円を切るまでになっていますが、日本の景気が
良くて、日本での設備投資が盛んな時期であれば我々にとって良い兆候なのですが、中
国国内への販売において、日本製品を組み込まざるおえない仕様に対してはかなりきつ
い状況になってきており、日本で生産する部品や商品は、本来から価格が高い日本製
が、益々高価なものになり中国の関税や増置税比率が高い事を含めると、考えたく無く
なるような状況になって来ています。
今後、大手を中心に海外生産に移行するスピードが加速されていくと思いますが、日
本の政治が停滞している現状や、規制緩和が一向に進まない日本の状況がどの時点
で崩壊してしまうのか、エネルギー問題や震災の復興事業や新規産業の創造がその崩
壊を止めてより安定した社会に向かうきっかけになりうるのかを、冷静に見つめていかなけ
ればならない時期に来ていると感じています。
最悪の展開としては、日本企業が海外へ生産拠点を移した後にくる大幅な円安状況
になる事も想定しておかなければならないのかもしれませんが、今後は日本国内を販売
地域のベースだと考えない方が良いのかもしれません。
2011年08月10日