中国レポート
中国のフローリングメーカーの動向
3月11日に発生した東日本大震災にて亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上
げますとともに、被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
東日本大震災から1ヶ月経とうとしていますが、少しずつ被災地域の復興が進められ
る状況になっている一方、東京電力の福島第一原発事故の影響や関東圏の電力
不足の影響が長期化する様相から、震災の直接被害と併せて日本中の経済活動に
大きな影響を及ぼして来ています。
直接の被害が無い地域においても資材不足が深刻になってきており、多くの工場の
稼働状況への影響や、建設資材の調達が困難になっている状況から住宅の工期遅
れに大きな影響が出ていると連日報道されていますが、リーマンショック以後の経済の低
迷から少し光が見え始めた所に今回の災害があり、この影響で日本経済の立ち直りが
一時的にも大きく後退してしまう懸念がでてきております。
数年続いた不況を何とか乗り切ってきている中小企業も多く、経営的にもより深刻な
状況になってきているのでは無いでしょうか、政治的にも被災地域の支援は当然必要
なのですが、日本全体の経済の影響による何らかの支援政策を早急に実施する必要
性を感じています。
しかしながら、私たちも後ろ向きの考えを捨てて、前を向いて進んで行かなければなら
ないと考えており、でグループ内の力を集結させる事で今回の事態に対応して、何とか
未来に繋いで行きたいと思います。
先月22日~24日に上海の新国際展覧センターで開催された、第13回中国国際
地面材料及舗装技術展覧会を見学してきましたが、規模的にも集客数も日本では
想像出来ない位の賑わいを見せていました。
しかし、3月3日に訪れた第11回中国国際林業・木工機械展ほどでは有りません
が、機械メーカーもフローリングメーカーも大手が出展を控え始めていると感じました。
フローリング製造関係の設備ブースも3年前位と比較して規模が小さくなっているのと、
ヨーロッパメーカのホマック以外のメーカーは姿を消しており、台湾メーカーの出店も少な
くなっているように感じました。
木質フローリングやMDF強化フローリングのブースは、一見派手になって全てが大手
フローリングメーカーだと思わせるような状況ですが、フローリング大手の生活家は主力
である木質のフローリングのブースには出展せず、クッションフロアー(樹脂フロアー)の部
門に出展していたり、各ブースの内容も同じような品種が同じように展示されているので、
見学していても新しい発見はほとんど期待できない状況だと感じました。
中国の木質フロアー業界の成長もそろそろ限界が見えてきているのではないかと思い
ますが、アメリカが中国製フローリングの輸入関税を25%にしたという話が今回あり、中
国の大手のフローリングメーカーは国内需要をと併せて、アメリカ・ヨーロッパ向けのフロー
リングも多く生産しており、今回の課税が中国のフローリングメーカーにどのような影響を
与えるのか、現時点では解りませんが、輸出先を日本や韓国に移行させたいと考えて
いるメーカーも出始めているようです。
日本のフローリング製造メーカーは、何故か同じ方向を向いて、天然付き板貼りフロ
ーリングからオレフィンシートのような樹脂貼りフローリングに移行する傾向が最近強く出
てきており、各社の独自性が益々失われてい行く傾向の中、中国で生産されている天
然無垢フローリングや厚化粧単板貼りのフローリングが逆に受け入れられやすい環境を
作り出してしまうのではないかと懸念されます。
中国のフローリングメーカーにおいて、日本のJAS認定や韓国のKS認定を取得する
動きも有り、日本の床板メーカーはこのグローバル化に対してどのような対応を考えて行
けばよいのかを、そろそろ真剣に考える時期だと思います。
日本のフローリングメーカーの木質床板製造の品質や低コスト化は、世界のトップに有
ることは間違いなく、そのノウハウを生かした海外生産や国内販売から一部海外への輸
出展開も併せて考える時期が来ているのではと思います。
2011年04月10日
車田 修