中国レポート
自動車用エアコン熱交・アルミチューブ塗布乾燥ライン
今年も後二ヶ月をきり、年齢とともに1年が過ぎる速さが益々早くなった
ように感じるこのごろですが、今年の日本国内の不景気の波に押し流されて
しまいそうな気持ちをなんとか持ちこたえて奮闘している現状を、どこかで
楽しんでいる自分に時々驚くこともあります。
今回は、中国国内の営業活動の特殊な例を少しご紹介したいと思います。
7月初めに中国精一機械からの連絡で、上海のアルミ加工メーカーから自動車の熱交
換器に使われている楕円形のアルミ押し出中空チューブへの塗装の引き合いがあるが、グ
ループの日本側では実績があるかどうか、又、設備の図面処理等が可能かどうかの問い
合わせがあり、可能との返事から精一の営業サイドがすぐ動いて、受注するまでに約1ヶ月
という短期間でGOサインがでました。
この設備は、熱交換器のアルミチューブとフィンを接着(溶接)するための特殊なフラックス
を塗布する装置で、日本メーカーやヨーロッパメーカーは以前からこの方式で生産しているの
ですが、中国メーカーでは製造しているメーカーが無くどのような設備を導入したらよいかを
模索する中で、精一機械が日本の塗装機メーカーとの合弁会社であり、日本の技術でラ
イセンス生産している事を、ネット上の精一機械のホームページで見つけて情報が少しでも
取れるのではないかと考えて連絡してきたようです。
このように中国の営業展開においては、かなりの部分にインターネットでのホームページの
効果があるようで、精一の営業もホームページを見ての引き合いがかなりあることを認めてい
ます。
しかし、元来の口コミやリピート的な展開での話に比べて、受注までの時間や受注できる
確立はかなり低いのですが、今回のような特殊な引き合いや自分たちが考えている仕事の
範囲から超えたものや、将来展開が見込めるような話が舞い込んでくる可能性も高いと言
っています。
今回のアルミチューブへの塗装処理ラインは、偶然にも、アドペックグループの会社がこの
設備を手がけたことがある事から、話が急速に進んでの受注となったのですが、最終的に
10ライン必要になる計画であると、中国独特の話の中で、最初のラインに関しては日本
側の図面処理費用や日本人の関与がどうしても必要である事を説明し、中国国内での
設備費用としてはかなり割高になるが、次期ラインからは価格を下げる事で了解を得られ
ました。
昨年からの日本国内の景気悪化状況から、需要がまだまだ見込める中国国内のローカ
ルメーカーに対しての、精一機械が手がけてきている設備以外の設備の受注ができないか
と模索していた中での今回の話は、あまりにもうまく話が進んだ事になりますが、今までも精
一機械が販売している木質建材業界や家具業界を始め、窯業建材業界・自動車業界・
その他日系の中国に進出しているメーカー等も含めて営業活動を始めていますが、これほ
ど短期間に話が進むものは珍しく、引き合いがあっても最終的には価格面で折り合いがつ
かなかったり、こちらの提案のレベルと客先の考えている設備レベルにかなりのずれがあり、
話が進まなくなったり、客先の要望を満たすべくレイアウトを作って提示して、打ち合わせを
重ねていくうちに設備規模が極端に小さくなっていったりと、日本での営業とはかなり様相が
違うことを痛感していました。
しかしながら、私たちが目指すグローバル企業としての将来を確立するためにも、中国国
内での多くの実績を作る必要性があると考えており、これからも中国以外の国への販売展
開も併せて、がんばって行きたいと思っています。
2010年11月10日
車田 修