中国レポート
中国での日本製品のブランド力低下傾向?
8月の後半になっても真夏日・熱帯夜が各地で続いている日本は、高気圧に覆われて
いるのと、夕立と雨が少ない為の地表の温度蓄積現象の影響といわれていますが、パソコ
ンのガジェットに中国広東省中山市と名古屋市の天気と現在の気温が表示されるように
してあるのですが、最近中山市の気温の方が低い表示の日が多いのです。
今までこのような現象はほとんど記憶に無いのですが、この季節の中国行きは「暑くて大
変ですね」から、「避暑に中国広東省に行くのですか」に変わってしまった2010年の8月で
した。
昨年世界一の自動車販売台数を達成した中国では、今年も10%以上の伸びが続
いており、2010年の新車販売台数が1500万台になるとの予想を示しています。
中山市においても、この3年位の間に急激に自動車が増えてきており、朝夕の通勤時
間帯においては、日本並みの渋滞が起きるようになってきて、私たちも通勤のルートを変
更する事態になっています。
しかしながら最近少し気になる現象として、この3年間の間に増え続けている自動車の
日本メーカーのいわゆる日本ブランドの車の増加が思ったより少ない気がしています。
この広東省は日本車メーカーの生産拠点が集中する地域として、中国全域に比較し
て日本ブランドの車の走っている数が多いと言われていて、3年前は感覚的に半分以上
は日本ブランドの車が走っていたような記憶があるのですが、最近は30%~40%位に減
っているような感じで、日本メーカーがかなり苦戦しているようです。
中国の人の話では日産は販売があまり落ち込んでないが、トヨタはあまり売れていない
関係から、価格を下げたり、特別ローン販売を始めているので、今がトヨタ車の買い時だと
の事。
トヨタのリコール問題が未だ尾を引いているのかどうか解りませんが、彼らの話をまとめる
と他メーカーと比較して購入ユーザーの意見(性能運転感覚等の評判)と価格面から欧
米車ブランドの方を選ぶ人が増えているとの事です。
8月4日に、中国国内販売のパナソニックの冷蔵庫36万台の大規模リコールが発表さ
れましたが、これは中国無錫松下冷機有限公司で製造された冷蔵庫が、冷えすぎたり
冷えなかったりする事と、これまでに20件を越える発火事故が報告されて今回の大規模
リコールとなったようですが、これに対してのメーカーの対応に関しても問題視され始めてい
るようです。
日本ブランドのイメージをますます悪化させる方向に行く可能性が心配されますが、中
国での販売店の対応で気になったのが、8月7日に中山市の家電売り場(日本の量販
店みたいなところ)に行って見ると、パナソニックの冷蔵庫は一台も置いてない状況・・・機
種全てがリコール対象では無いはずで、日本では考えられない対応です。
これらの対応をどのようにとらえたらよいか解りませんが、少なくとも10年前に比べて日
本ブランドの中国における地位の低下現象が起きている事は間違いないようで、過去の
ブランド力に依存する日本メーカーの体質と、一つ一つの部品の品質や完成度は韓国製
・ 欧米製品・中国メーカーの物との比較においても、まだまだ優れていると思いますが、一
つの商品としてのデザインや使い易さ、総合的な性能等において、はたして日本ブランドは
その価格に見合うレベルを維持しているかが正に問われているのではないかと考えています。
同じ日本ブランドの家電でも日本製と中国製ではかなり、品質レベルが違うとの見方
から、中国人が日本に来てメイドインジャパンを買いあさって行くニュースが流れていますが、
日本の大手メーカーの物作りに対する、中国での対応力が、韓国や欧米メーカーとの比
較において負けているとしか判断できない状況になってきているではと考えています。
我々も業界や分野は違いますが、中国で物作りをしている立場として、日本ブランドの
地位の低下は気になるところで、影響力の大きい大手メーカーにはもっと頑張ってもらって、
日本ブランドがいつまでも品質と性能・耐久性に優れ、使いやすく・価格面においても競
争力のある位置を維持して欲しいと願っています。
2010年9月10日
車田 修