中国生産の目的
現在、名古屋も中山市も真夏の灼熱が毎日続いており、特に今年の日本は異常な暑
さになっていて、中山市に居ても名古屋に居ても同じような気温変化で、中国に行くと暑
いというイメージが崩れつつあります。
7月の終わりに上海に出張しましたが、名古屋や中山に比べてさほど暑くなく万博も順
調に開催されているようですが、私は当然素通りで見学する時間も無く興味のあまり感じ
ない感覚で、上海近郊の南翔まで足を延ばし本場の小龍包をお腹いっぱい食べて来まし
た。
上海の豫園にある小龍包店は観光客で毎日行列ができている状態で、昼時は待ち時
間30分位は平日でもかかるようで、万博開催中はとても無理だと考えて上海中心から北
西約18kmのところ(高速を使って約30分)にある南翔まで行ってきましたが、この南翔が小
龍包の発祥の地と言われているようです。私も5年ぶりに訪れましたが周辺は開発が進んで
おりかなり様相が変わっていましたが、小龍包店が並ぶ周辺はあまり変わっておらず中国的
な雰囲気を味わえる地域だと思います。
古猗園という16世紀半ば、明代の嘉靖年間に作られた庭園があり、上海に行って少し
時間が有れば昼食に小龍包を食べに行くついでに訪れてみるのもいいと思います。
さて話は変わりますが、現在の日本国内の需要が期待できない中、中国精一機械にお
いては、中国国内の建材・家具業界向け塗装設備は順調に受注・生産が進行しており、
売り上げに関しても昨年をかなり上回ると予測されています。
そんな中、人件費の高騰と人手不足が中国企業において問題視されてきており、ライン
自動化や省力化の設備の需要が今後急速に広がってくる気配が出始めております。
又、この種の新しいラインの引き合いにおいても、かなり自動化の構想が盛り込まれるよ
うになってきている一方、設備の要求も品質と使いやすさ、メンテナンスの安易さを強調さ
れるようになってきており、中国も過去に日本がたどった道のりを急速に追いかけ始めてい
ます。
今後数年で、自動化・省力化が急速に進み人件費の値上がり分と人民元切り上げ分
のコストを相殺することは間違いなく、軽工業製品の中国製品の価格競争力は当面維
持されると考えたほうが良いかもしれません。
又、製造される商品の品質も自動化や品質管理の体制が急速に進んできており、日
本品質を確実に抜き去り、よりレベルの高い商品が生産されるのも時間の問題のような気
がします。
私どもが中国において精一機械を立ち上げ、フローリング塗装設備の生産を始めてから
5年が経ちましたが、当初の基本的な目的が少しずつ達成されてきている実感を持ってい
ます。
私どもの中国生産に対する目的の中で一番強調したい項目は、設備機械の設計技
術者として近年の日本の高コスト(人件費・流通コスト・管理コスト等)社会の中で、商品
の価格を販売競争力のある価格に維持する為、いかに生産コストを押さえ込むかが第一
条件として設計に反映しなければならない事が、技術者として本来の設計思想から外れ
かけてしまう事に限界を感じていましたが、現時点での中国生産のコストと中国国内の市
場をベースとすれば、品質・安全性・使い易さ・メンテナンスの容易さ等を追求した、技術
者として満足のある設備機械の設計ができる事、けっして中国で生産して安い価格で日
本国内に提供する目的で始めたのではなく、現状と同等の競争力のある価格において、
従来商品より高品質で使う人の事を考えた設備機械を提供する為と考えています。
当然ながら、中国生産設備機械を簡単に受け入れてもらえるほど日本の業界の体質
がオープンな状態では無く、中国で作るのだから安いだろうと言われる販売価格と提供する
設備の製造コストと品質度(設計者として満足度)及び中国生産における多くの問題点を
カバーするノウハウのバランスが取れているとは言いがたい状況でしたが、中国国内販売が
増えるに従い、精一での製造上の問題点も日本国内並みになってきており、設計上も日
々改良されていく状態も目に見えて解る(生産台数等の数量が多い事によるメリット)よう
になってきています。
ユーザーからの要求事項も多様化しており、使い始めてからの問題点等も短期間に情
報が集まり、問題点の解決策(けっして機械自体の問題だけではなく、生産品の生産シ
ステムや生産品自体の問題点も含めて)も多くの情報となって蓄積されてきています。
このように当初の目的の第一段階はクリヤーされつつある実感を持ってきており、そろそろ
第二段階に目標を舵取りしようと考えています。
2010年8月10日
車田 修