中国レポート
中国バブルと精一機械のカーテンコーター
中国における最近の建材メーカーの動向は、昨年前半の金融危機に伴う中国政府の
莫大な市場融資が効いて、昨年後半には不動産バブルを作り出している状態になってき
ているといわれており、一時的に価格が下がったマンション価格は急激に上昇し、都市部・
地方都市におけるマンション建設もまだ作るのと思われるほどで、同調するようにフローリング
や家具業界の設備投資も回復してきています。
精一機械のある、広東省の地方都市の中山市においても建設ラッシュの状態が続いて
いて、マンション価格も過去のピークを越えるまで回復上昇してきており、上海近郊では㎡
単価が20000元(280000円)以下は無いといわれる状態まで来ていて、中心部の高
級マンションは㎡単価が100000元(1400000円)を超えるまで上昇しているようです
が、中山のような地方都市におけるマンション価格は、内装の無い状態での㎡単価が450
0~7000元(日本円で65000~100000円)位ですから、上海に比べれば平均的に
は1/5位だと思います。
中国における不動産のバブル崩壊が噂されていますが、一部大都市を見ている限りでは
いつ崩壊してもおかしくないような状態になってきている事は理解できるのですが、中山のよ
うな地方都市においてのマンションの需要増はサラリーマンの賃金が上がってきている事と、
詳細はわかりませんが最近の銀行の住宅ローンが30年~35年で組めるようになった事が
主な要因であるようで、月給7000元位のサラリーマンであれば、充分手の届く範囲になっ
てきているようです。
このように堅調な住宅着工数の増加に伴って、木質フローリングは使用率が少ない事も
あり未だ新たな設備投資は一部のメーカーに限られているようですが、家具業界の設備投
資は急激に回復してきており精一機械においても昨年後半から今年前半にかけて、家具
向け及び床板用のUV塗装ラインを3ライン納入していますし、その他サンダー・ロールコータ
ー・カーテンコーター(フローコーター)は単品の設備としても数多く出荷されているようです。
特にカーテンコーターに関しては、杉井鉄工所の技術を基に2006年に中国国内向けと
してデモ機の製作と上海展覧会への出展したことで、2007年から少しずつ納入され、20
08年から2009年にかけて広東省を中心に急速に受注が増えてきて、本格販売から2年
余りで約70台位の納入実績になっています。
販売地域が広東省中心で営業されている事、ロールコーターとは違って1ラインの中に複
数代使用される機械ではないのですが、これだけの受注を実現できている理由は正に他社
製品(中国製・台湾製・ヨーロッパ製)との比較において性能面で優れている事が認められ
た結果だと考えられます。
無溶剤UV塗料をカーテンコーターに使用する場合、粘度調整の為の塗料加温設備
(加温タンク)が必要になる事、塗料に泡がかみやすく循環ポンプの形状変更・消泡対策の
為の塗料循環装置の形状改善・消泡フィルター等の選定等、日本国内で従来使用され
ていた設備では対応できない事から、杉井鉄工所にて2000年頃から開発が始まりました
が、日本国内では需要自体が少ない事から時間をかけての改善がされてきました。
基本的な技術が確定した段階で中国での販売が始まり、性能が評価され納入実績が
伸びていく段階で、杉井鉄工所との連携で更なる改善がされ、特にヘッドの内部形状の変
更やヘッド強度の強化の為に鋳物フレームへの変更、ヘッドロック装置の追加、カーテンノズ
ル形状や材質の変更等が行われ、一般のフローリング塗装に使用される無溶剤UV塗料
において塗布量60g/㎡以下(コンベヤー速度80m/分)が安定的に塗布できる装置
に仕上がっています。
又、カーテン膜が吐出スリット面から50mmくらいの位置で綺麗な表面張力膜となり、ワ
ーク搬送面と塗料吐出スリット面の間隔をかなり近づける事ができる(100mm以下)為、
ワーク搬送による空気の流れ等による幕切れが起こりにくくなっております。
従来、ワーク厚み15mm以下の製品の長辺相ジャクリ凸部に塗料が塗布されてしまう
現象が有り、製品安定化の為に全ての製品の相ジャクリ凸部を積極的に塗ってしまう対策
で、ワーク搬送巾を広げる方法がとられ、塗料のかなりの無駄使いになっていると考えられま
すが、現行のカーテンコーターでは上記のスリット面と搬送高さの間隔を80mm位にする事
で長辺相ジャクリ凸部には塗料が乗らない事が確認されています。
これは、塗料落下速度が遅い(一般にカーテンコーターはノズルから距離が離れるほど塗
幕スピードが上がることになるのですが、ノズルに近づける事で従来よりワークに接触する塗
膜スピードが遅くなってエッジ部に衝突した時の広がり角度が大きくなった事で可能になった
現象だと考えております。
但し、ワーク形状・塗料粘度・搬送スピード・塗布量等により上記の現象は変化します
ので、実際にこのような目的で使用するには確認のテスト等必要になると思います。
このように、中国でカーテンコーターだけではなくサンダー・ロールコーター・UV照射装置等
の製造販売を開始してから4年が経ちますが、各機械それぞれ改善・改良が常に行われて
きており、日本向けの設備に関してもより性能の良い商品を提供できるようになって来てい
ますが、これは中国における生産台数の多さと、顧客から寄せられる納入設備に関する使
用状況や他社製品の性能・構造等の情報量の多さ、フローリングや家具業界における製
造商品の多様化による設備に対する多種にわたる要求が、精一で生産される設備機械
の開発や改善の原動力になっている事は間違いないと思っています。
参考に精一機械のHP除いて下さい。
http://www.j-one.com.cn/index.asp
2010年4月10日
車田 修
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