中国レポート
中国高速鉄道
中国の春節(旧正月)も終わり、2月28日は旧暦の新年15日にあたり「元宵節」や
「灯節」と称し、家の門前や道路に提灯を飾って祝う祭りがありますが、この提灯を飾る祭
りは漢の時代に仏教崇拝の祭礼として始まったものと言われているようです。
精一機械の連中もそれぞれ帰省先から戻ってきていますが、今回の話題の一つに湖南
省出身の人たちが、広州から湖南省の長沙市まで新幹線で行って帰ってきたという話しで、
昨年までは高速道路で8時間位かかって、雪でも降れば何時間かかるか解らない状況だ
ったのが、今年は2時間20分で行ける様になったと自慢げに話していました。
日本では2007年上海~南京間に日本からの技術で新幹線が開通したニュースと、北
京~上海間にも新幹線を走らせる計画が進んでいる位の事しか知らないのが一般的です
が、今現在中国の高速鉄道といわれる鉄道(時速200kmクラス・250kmクラス・300
kmクラス)が、日本・フランス等との技術提携や中国独自の技術で着々と進められていま
す。
現在開通しているのは、上海~南京、上海~杭州、北京~天津、広州~武漢、鄭
州~西安に新幹線が開通しており、2010年2月現在で高速鉄道の総延長距離は3
300kmとなっており日本を抜いて世界一になっています。
湖南省の長沙は広州から湖北省の武漢までを2009年12月に開通して、世界最
速で、時速394kmを記録した新幹線で、営業速度も最高速350kmで運転しており、
広州~武漢の1069kmを3時間で運転しているようですが、運賃は飛行機の安売りチ
ケットより少し高めで1等で780元(約11000円)、2等が490元(約7000円)ですが、
日本の新幹線の半額位だと思います。
この新幹線の車両増発計画に当たって、日本の企業に駆動系を中心にかなりの部品
を発注していると聞いていますが、中国国内ではあくまで中国独自の技術で完成との事
です。
話題の北京~上海間は今年中に開通する予定で工事が進められており、すぐその後
に上海~広州や北京~香港などが計画されており、中国政府は2020年までに5兆元
(約70兆円)の予算で、時速200km以上の高速鉄道を18000km完成させる事が
決まっているようです。
現在中国の鉄道網は、総延長90000kmとされていますが、最終的に12万kmにな
る計画で、主要都市間の高速鉄道ばかりでなく各都市近郊の鉄道も整備が進められて
おり、現在でも北京・上海・広州・南京の都市近郊は地下鉄を初め通勤や地域ビジネス
用の近郊鉄道が充実しており、精一機械のある中山市にも年内完成予定で、広州~
珠海間の広州近郊の時速160kmで走る中高速鉄道の建設が進められており、全長
141kmで広州から珠海までを最速44分で走る予定、中山市の小欖から隣の市の江門
市までの支線もあり、将来的にはマカオの内部の鉄道網と直結される計画で、中山市の
中心駅は精一機械から1.5kmの所に現在建設中です。
広州には昨年末に新駅が番萬地区に総合駅(広州地下鉄や各地方への高速鉄道の
駅)として完成しており、深セン~広州間の高速鉄道(将来的には香港-広州間を45分
で結ぶ)も今年の完成予定で進んでおり、香港・広州・マカオのデルタ地区を鉄道網でカバ
ーする一大経済圏の構築をめざしている様です。
自動車産業も中国が世界一になるのは間違いないようですが、鉄道の産業も世界一に
なってきているようで、後進国への高速鉄道の売り込みも政治的に展開しており、日本とフ
ランスの技術ベースのはずなのですが、現実の実績にはかなわないのかもしれません。
私どもの業界の機械設備にしましても、ますます中国国内での需要の増える中での中国
国内における生産量が日本やヨーロッパの生産実績を超えるのも時間の問題となっており、
生産台数が品質面の強化や新商品の開発へ原動力となり、中国製が一番と言われる
のもそれほど遠い話でもないような気がしてきています。
2010年3月10日
車田 修
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