中国レポート
広州国際建築装飾博覧会と中山市の高級マンション事情
最近の猛暑の連続で少し疲れ気味の方も多いのではないかと思っています
が、中国広東省中山市も連日３５℃以上で、夜も３０℃以上が続いています。
７月６日から９日にかけて、広州・中国進出口商品交易会琵洲展館
（China Import and Export Fair Pazhou Complex, Guangzhou,
China）にて、第十届中
国（広州）国際建築装飾博覧会を覗いてきましたが、建築関係の内装・外装材料から
ドア・収納家具・キッチン関係・浴槽・トイレ関係の部材及び機器、その他照明関係か
ら建築金具（取っ手、チョウバンその他）まで、まあ、中国で使用されている
住宅の装飾・設備に使用されている材料関係から機器関係全てと言っても良いくら
いの総合的な展示会です。
機械関係は、ほんの少し塗料メーカーと併設される形で出展されており、精一機械も
珠海のUV塗料メーカーのブース内にロールコーターとフローコーター・サン
ダー・UV照射装置を出展しました。
全部の展示ブースを見るには丸２日以上必要な位の規模でしたので、とり
あえず半日で歩けるだけ歩いた形で覗いてきましたが、床板関係からキッチ
ン・トイレ等私たちの身近にある物の見た感じのできばえは、日本のものと
の比較では特別遜色無いレベルだと思いましたが、細かい点では収納扉のコ
ーナーの仕上げ具合とか、取り付け精度とか、面のちょっとした仕上げの感
じが、やっぱり日本製のほうが良いと思いたい気持ちがあるせいか、私は日
本製の最終仕上げの綺麗さと比較してしまうのですが、私たちが中国で生産
する機械に関しても日本式の仕上げを常に要求（制御盤の扉のコーナーの仕
上げ具合とか・塗装面の綺麗さとか）してはいますが、本当にそこまで必要
かどうかの確証は私自身も持っていないのが事実かもしれません。
中国では、このような、世界的に見ても先進国に劣ることは無いと思われ
る部材・機器（実際には日本でもかなりの中国製が出回っていると思います
が）を使った高級マンションが続々と建築されている現実があります。
広東省の中山市でもまさにマンション建築のピークを迎えており、中心部
だけでも現在数十箇所で建築が進められており、一つの町を形成してしまう
規模のマンション及び一戸建ての新しく造成された場所や、中心部の工場や
古い建物を壊して建築される場所等、中山の中心部から車で２０分以内のと
ころに続々と建築工事が進められています。
ちょっと気になる事があるのですが、それは販売価格が３年前の約２倍位
まで上がってきている事です。
３年前に町の中心部の新築マンションの平均的な販売価格は、１M2当たり
約２５００元～３５００元位だったのが、最近は４５００元～７０００元に
なってきているようです。
これはコンクリートの箱だけで、内装は無い状態での販売価格であり、平
均的な１２０ｍ2のマンションは安くて日本円で９００万円位になり、これに
一般的な内装と必要な機器を取り付けるとプラス４００万円位必要で、３６
坪のマンションを取得するには、１３００万円と言う金額が必要になり、日
本の田舎ならこの位の価格なら買えるかもしれないと思われるような価格帯
です。（最近の一般的な日本の地方都市の１００ｍ2程度のマンションの価格
が幾らかは、調べなければわかりませんが、多分３０００万円位でしょう。）
当然、中国の大都市でのマンション価格は急激に高騰してきており、ここ
に来て価格が下がり始めた地域もあると聞いています。
中山市は、面積は愛知県位あるのですが、正規登録人口が約１４０万人・
外来人口（地方から来た人や外国人）が約１５０万人で合計３００万人に満
たない、中国の都市としては人口密度のかなり少ないすごしやすいところな
のですが、最近のマンションの新築工事の数は、誰が住むの？と思いたくな
るような数です・・（多分中心部だけで多分１万戸くらい建築中）
中山市で、マンションや家を購入する場合の銀行ローン（５年～２０年）
は整備されてはいますが、少なくとも３０％は現金が必要で、内装や備品関
係は当然現金買いです。
少なくとも日本円で換算して、４００万円以上の現金と継続するローン
（月々７万円～１６万円）の支払いを考えると、かなりの高所得者層がター
ゲット（精一機械の大卒設計技術者の平均給料は日本円換算で約８万円）と
して考えられ、中山市の人口がまだまだ増え続ける事を前提としているのか
なと思われます。
しかし、中山市の中心から通勤できる地域での工場用地はもうありません
し、今現在どこかに住んでいるのでしょうから、買い替え需要なのでしょう
か・・・・どうみても作り過ぎとしか思えない状況だと感じています。
現在数年前に建築されたマンションでも、投資目的で購入された場所が多
く、空き部屋が相当数有り、又貸しによる賃貸し（余剰資金がある人が購入
して、内装を済ませてから貸し出し、家賃でローン返済をしていく）がかな
りの数になっており、その関係から、売れ残りのマンションは無く、足りな
い状況が続いているようですが、ローン返済が旨くいかないケースも出てき
ているようです。
まあ、短期的には今が物価及び賃金に対して、住宅価格のピークかもしれ
ませんが、これから価格の低下による、不動産会社の倒産とか、どこかの国
のように無理なローンの焦げ付きが表面化しなければいいのですが・・・・。
中国では、今はオリンピックの開催がまじかに迫り、テレビもオリンピッ
ク一色の状況が１ヶ月続くのでしょうが、四川省の地震のニュースはまった
く無く、２局面が同時に存在する歪んだ状況がどこかで、緩和されて経済成
長が継続して行くのか、歪が表面化して一次的にも経済状況が悪化する可能
性があるのか、解らない状況があるのが現在の中国だと思っています。
2008年08月10日
車田 修