中国レポート
中国における窯業建材の動向
精一機械における、木質床板の塗装ラインに関する引き合いと受注は、ある程度順
調に進行していて、機械設備に関しても中国メーカーや台湾メーカーに比べてラインの
高速化への対応や機械の耐久性、精度・使いやすさ等が徐々に評価されてきて
いると考えられます。
今年に入ってから、数件、窯業系建材のサイディングメーカーからの塗装設備や乾燥
設備の話が持ち込まれているとの報告が来ており、コスト面からまだ受注までは行ってな
いようですが、中国内でサイディングの設備の話が出始めていることは間違いないようで
す。
昨年2月、ニチハ株式会社が中国浙江省嘉興市の新工場でサイディングボードを生
産し始め、中国国内への販売に向けてのPR活動も盛んに行われているようで、これら
の影響も少なからず受けているものと思われます。
現在、中国沿岸都市部においては集合高層住宅が主流ですが、一般に別荘と呼
ばれる一戸建ての住宅も地域によっては高所得者向けに販売されていて、精一機械
の在る中山市においても高級住宅地では一軒の価格が、日本円で数億円もする戸
建て住宅が分譲販売されており、販売開始後短期間で完売するようです。
現状の戸建て住宅の一般的な構造は、柱や梁関係が鉄筋コンクリート・壁はレンガ
かセメントブロック積みで外はモルタル塗りかタイル貼り・サッシ関係は樹脂かアルミ・内装
(壁・天井)はセメントの上に塗装仕上げ・床は大理石調の陶板かフローリング(木質・
合板系・MDFメラミン系等)・屋根は洋風瓦(セメント瓦・陶器瓦)でほとんど3階建て
が主流です。・・・・土地の広さは100坪~200坪位だと思います。
床に関しては、中国北部は木質系(無垢材)のフローリングか、MDFに低圧メラミン
張りの床板が多く、広東省ではいまだに陶板が主流ですが、湿度が高い関係もあり最
近は木質合板系のフローリングがかなり増えてきているようです。
サッシに関しては、1970年代の鉄・木質サッシから1980年代にヨーロッパからの技
術により樹脂サッサが主流となったようですが、1990年代に入ると意匠性や機能性か
らアルミサッシに移行してきているようで、最近精一機械にもアルミサッシへのUV塗装の
話が来ているようです。
外壁に関しては、基本的な住宅の構造・工法が変わらないと、窯業系のサイディング
ボードが使用されることは難しいのではないかと考えられてきていましたが、2003年以降
それまで壁の骨材に使われてきたレンガが、材料の土の乱獲やレンガ焼き時に発生する
CO2問題によって、使用禁止になった事やタイル張りやモルタル仕上げではできない意
匠性が話題となってきており、アメリカやカナダの住宅メーカーが2×4工法の住宅を中国
国内で展開しようとしている事、日本のトヨタ自動車・新日本製鐵・三菱商事が中国の
住宅メーカーに資本参加して、スチール構造の住宅を展開しようとしている事から、今後
窯業系サイディングボードが中国で製造されることになってもおかしくない環境がそろってき
ているといえます。
現実に具体的な設備の話として、窯業系サイディングメーカー(ヨーロッパとの技術提携
会社)や従来から波型スレート等を製造していたメーカーが、サイディングの製造機械(特
に乾燥や塗装)に関して、精一機械に話しを持ち込んできている現状があり、かなりの動
きがこの業界で起こり始めているのではないかと考えています。
セメント業界としても、道路・鉄道・橋・高層ビル・住宅等に大量にセメントが使用され
ていますが(現在の中国でのセメント生産量は8億6千3百万トン)、そろそろセメント二
次加工への本格的な参入も出てきてもおかしくないと思われます。
窯業系サイディング等の設備に関しては、アドペックグループや協力会社においても、1
990年代から現在に至るまで、日本の各メーカーに広い範囲で納入してきており、技術
的にも高いレベルにあると考えていますので、今後の精一機械での主力商品のひとつとし
て期待できるのではないかと考えています。
2008年05月10日
車田 修