■住宅関連情報/2024年3月 ■        過去の住宅情報
<住宅、リフォ-ム、ロ-ン、建材・住設・家具・合板・木材、建築・ゼネコン・不動産、塗料・素材、環境、アジア>

住宅関連
  1. 住宅着工動向:国土交通省情報/2024年2月の新設住宅着工戸数-59,162戸、前年同月比8.2%減。9カ月連続で前年同月を下回った。新設住宅着工床面積/452万2200㎡と、同13.01%減で13カ月連続の減少。季節調整済み年率換算値/795,000戸、前月比0.9%減だった。※国交省3-29/24配信
  2. 住宅着工動向:同上/種別-持ち家は16,307戸で、前年同月比11.2%減となり、連続の減少は27カ月に達した。貸家は24,943戸、同1.0%増で、前月に続き2カ月連続で増加。分譲は17,327戸、同17.7%減で、2カ月連続の減少。うちマンションは7,483戸と同23.3%減で2カ月連続、一戸建て住宅は9,710戸と同13.3%減で16カ月連続で減少。※同上
  3. 住宅:住宅価格/東京カンテイ情報-2月の小規模新築戸建て住宅の平均希望売り出し価格は東京23区で前月比0.8%安い1戸あたり6992万円。下落は2カ月ぶり。高額物件の売り出しが減り、平均を押し下げた。調査/敷地面積50-100㎡の新築木造一戸建て(土地付き)で、最寄り駅まで徒歩30分(バスで20分)以内の物件。※日経3-12/24P21
  4. 住宅:住宅価格/首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)-0.5%高の5243万円。23区外を含めた東京都全体-ほぼ横ばいの6247万円、神奈川県-4.5%高の4823万円、埼玉県-2.7%安の4292万円、千葉県-1.3%高の4286万円。近畿圏/0.4%高の3855万円、中部圏/4.9%高の3931万円。※同上
  5. 住宅:住宅価格/市場-実需層が戸建て住宅の購入を控えているとの見方がある。物価高や金利環境の先行き不透明感が影響しているようだ。在庫が膨らんだハウスメ-カ-は販売量を増やそうと価格調整を進め、相場に下押し圧力がかかった。「高級物件の売り出しはしばらく減るだろう。価格の下降トレンドが続きそうだ」(東京カンテイ)。※同上
  6. 住宅:パナソニックホ-ムズ/新社長-藤井孝氏(ふじい・たかし)。1989年(平元年)関西大工卒、ナショナル住宅産業(現パナソニックホ-ムズ)入社。18年執行役員、20年4月常務執行役員、6月取締役。兵庫県出身。58歳。(4月1日就任。井上二郎社長は代表取締役に)。※日経3-2/24P13
  7. 住宅:積水ハウス/戸建て住宅を建設する日本の職人を海外に派遣し、施工技術を指導す取り組みを始めた。海外でも精度の高い施工ができるようにして住宅の質を高める。同社/住宅建設が盛んな海外でM&Aを進めている。住宅施工の精度や効率を高め、海外市場の開拓につなげる。※日経3-7/24P15
  8. 住宅:積水ハウス/同上-子会社の積水ハウス建設の職員2人を、このほどオ-ストラリアに派遣した。派遣期間/6カ月で、現地で採用した職人に施工ノウハウを教える。積水ハウス建設/職人を定期的に派遣する方針で、成長が見込める米国でも検討する。積水ハウス/M&Aで米国でのグル-プ全体の引き渡し戸数は約15,000戸と全米5位になる見通し。※同上
  9. 住宅:積水ハウス/2024年1月期連結-増収増益。売上高31022億円(前期/29288)、経常益2682.48億円(同/2572.72)、利益2023.25億円(同/1845.20)。25年1月期連結見通し/売上高33420億円、経常益2620.00億円、利益2030.00億円。※日経3-8/24P16
  10. 住宅:積水ハウス/24年1月期連結-純利益は前期比10%増、過去最高。米国の戸建て住宅が想定以上に回復し、国内の戸建て住宅は資材価格の高騰分を価格転嫁で補った。都心部に保有するビルの持ち分売却も寄与。売上高は創業以来初めて3兆円に達した。営業利益は4%増の2709億円。不動産仲介事業が好調だった。※同上
  11. 住宅:積水ハウス/同上-国内の戸建て住宅事業の売上高は1%減の4710億円と従来予想を下回った。市場は縮小傾向にある。国土交通省情報/注文住宅の着工戸数は前年割れが続いている。※同上
  12. 住宅:積水ハウス/同上-海外事業の売上高は2%減の5110億円。営業利益は34%減の488億円。米国での販売戸数は4444戸、24年は5500戸程度を計画(M・D・C・ホ-ルディングスの買収で、さらに上積みできる可能性がある)。※同上
  13. 住宅:積水ハウス/2026年1月期までに150億円を投じ、国内の賃貸住宅向け部材の生産を増やす。関東工場(茨城県古河市)など国内の主要4工場に、3-4階建て賃貸住宅向け部材の加工設備などを導入。単価の高い賃貸住宅の受注が増えているが、部材の生産体制が追い付いていない。駅から徒歩10分以内「Sエリア」の営業強化。※日経3-9/24P15
  14. 住宅:穴吹興産/荷物のピッキングや包装作業を請け負う倉庫事業を本格展開する。7億円を投資して高松市に倉庫(敷地面積/約4000㎡、2階建て/10月までに設立)を建設するほか、今後は香川県や愛媛県で年1棟のペ-スで新設する。「2024年問題」を見据え、全国展開の小売事業者やネット通販業者からの需要を着込む。※日経3-8/24P39
  15. 住宅:穴吹興産/霊園開発事業に参入。高松市の宗教法人との共同開発で、樹木葬の墓地などの販売を2024年秋にも開始。墓地の管理の手間を子どもにさせたくない世帯をタ-ゲットに、今後は中四国・九州のエリアで2年で1カ所のペ-スで開発を続け、事業を拡大。高松市の霊園開発/敷地面積7000㎡で、樹木葬の墓地をメインとする。※日経3-23/24P35
  16. 住宅:明豊エンタ-プライズ/2024年1月中間期連結-黒字化。売上高108億円(前年同期/33)、経常益11.92億円(同/▲0.67)、利益8.35億円(同/▲0.46)。24年7月期連結見通し/売上高193億円、経常益11.87億円、利益6.87億円。※日経3-16/24P21
  17. 住宅:分譲マンション賃料/東京カンテイ情報-2月の分譲マンション賃料は東京23区で前月比0.2%高い1㎡あたり4274円。上昇は4カ月連続。マンション価格の高騰で賃貸需要が強まる中、築年数が古く賃料水準が低めの物件で賃料を引き上げる動きが続いている。分譲マンション賃料/持ち主が設定する賃料。※日経3-15/24P26
  18. 住宅:分譲マンション賃料/同上-首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)は0.4%高い3584円。うち、23区外も含めた東京都全体は0.4%高い4148円、神奈川県は3.8%高い2651円。※同上
  19. 住宅:マンション賃料/アットホ-ム情報-2月の賃貸マンション平均募集家賃。東京23区/ファミリ-向き(50-70㎡)が前月比0.2%安の221,940円。築年数などの条件が劣る一部の物件で家賃を調整する動きがあり、4カ月ぶりに下落。※日経3-27/24P27
  20. 住宅:マンション賃料/同上-調査は主要都市13カ所の賃貸マンションを対象に、月額の募集家賃(賃料、管理費・共益費などを含む)を面積規模別に集計。※同上
  21. 住宅:マンション賃料/同上-札幌市は0.7%高い87,999円、名古屋市は2.7%高い97,455円、大阪市は0.1%高い143,376円、福岡市は2.1%高い109,112円。全13エリア中9エリアで2015年1月の集計開始後の最高値を更新。東京23区/前月比でわずかに下落したものの、前年同月比では5.8%高い。※同上
  22. 住宅:マンション賃料/同上-都心への人口流入やマンション価格の高騰を背景に、賃貸需要が強まっている。「賃上げで入居者の家賃負担能力が高まっている面もある。年内は家賃の上昇基調は続きそうだ」(同社)と指摘。※同上
  23. 住宅:中古マンション/東京カンテイ情報-中古マンションを売買する際の目安になるリセ-ルバリュ-(再販価格/RV)で、東京都心の上昇が際立つ。資産価値が長期にわたり持続・拡大されるとして、海外の不動産投資家や富裕層のマネ-が集中するためだ。上位の顔ぶれは約10年で様変わりし、再開発が一巡したエリアや郊外は消滅した。※日経3-9/24P24
  24. 住宅:中古マンション/同上-再販価格は購入した商品を中古市場で売価する際に得られる利益=商品の資産価値を映す。同社/2014年以降の中古マンションの再販価格を地域ごとにまとめた。築10年程度の中古マンションの平均希望売り出し価格を新築時の販売価格と比べて算出。※同上
  25. 住宅:中古マンション/23年1月の再販価格-1位は東京都港区の188.4%。2位は同千代田区の187.1%、3位は同渋谷区の180.5%。上位10エリア中7エリアを都心である東京23区が占める。→約10年で再販価格上位の顔ぶれが変化/14年の1位-京都市中京区の132.5%、2位-同下京区の123.0%、同左京区も110.2%で6位だった。※同上
  26. 住宅:中古マンション/東京カンテイ情報-2月の中古マンション平均希望売り出し価格は東京都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)で、70㎡あたり1億1380万円。前月比2.2%高く、2002年の集計開始後の最高値を13カ月連続で更新。都心6区は資産性の高さから需要が底堅く、値上がり基調が続く。※日経3-22/24P28
  27. 住宅:中古マンション/同上-調査は専有面積30㎡未満の住戸や事務所・店舗用を除く、ファミリ-タイプが対象。※同上
  28. 住宅:中古マンション/同上-首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)は0.7%高い4707万円。都心6区外も含めた東京都全体は0.1%高い6424万円、神奈川県は1.1%高い3648万円、埼玉県は0.7%安い2945万円、千葉県は0.4%安い2721万円。近畿圏/0.9%高い2871万円、中部圏は0.9%高い2253万円。※同上
  29. 住宅:中古マンション/同上-正味の在庫量を示す流通戸数は都心6区で3667戸と前月比で3.8%増。市場では、東京五輪・パラリンピック選手村跡地の大型マンション群「晴海フラック」の住戸が出回り始めているとの見方もある。東京カンテイ/「価格の高騰によって都心6区でも買い手がつきにくくなっている可能性も考えられる」と指摘。※同上
  30. 住宅:政策/国土交通省-全国の公営住宅で、子どもの安全確保のための改修を進める。4月から地方自治体に改修費用の半分を補助。空き家活用の支援制度も整備。2024年度から10年間で世帯向けに30万戸の供給をめざす。21年度時点で全国213万戸のうち7割が建築から30年以上経過していた。※日経3-4/24P1
  31. 住宅:政策/同上-改修の促進と同時に若い世代の流入増を狙う。資金は24年度予算案に盛り込んでおり、社会資本整備総合交付金(総額/1.3兆円規模)から出す。公営住宅/家賃が安く、希望する世帯も多い。大都市部を中心に応募倍率が高い。※同上
  32. 住宅:政策/政府-マンションの建て替え議決の要件を緩和する「区分所有法」の改正案の提出を見送る方針。審議時間が会期中に十分確保できないと判断。秋に見込む臨時国会などへの提出を目指す。区分所有法改正の要点/分譲マンション建て替えの議決-現在、議決の必要な所有者の4/5の賛成を3/4に引き下げると定めるなど。※日経3-15/24P4
  33. 住宅:政策/国土交通省-26日、マンション管理などが適正であることを地方自治体が認定する「管理計画認定制度」の見直し案を示した。マンションの修繕積立金を巡り、段階的に引き上げて区分所有者から徴収する場合の最終額を、均等に割った場合の1.1倍以内に収めることを推奨する。初期の設定額も目安を示した。※日経3-27/24P5
  34. 住宅:政策/同上-修繕工事にかかる総額を月ごとに均等に割るなどした額を基準額とし、初期額が低くなり過ぎないように0.6倍以上にする。マンションの管理組合が規約の作成時に参考になるように定めた「標準管理規定」の改正案も示した。宅配ボックスの設置に関する総会の決議については過半数の賛成があれば可能だと明記した。※同上
  35. 地価:国土交通省情報/2024年の公示価格-全用途の全国平均は前年比2.3%上がり、伸び率はバブル期以来33年ぶりの高さだった。株価や賃金に続き土地にも上昇の波が広がり、日本は脱デフレの転機を迎える。先行きの利上げを懸念し、海外マネ-には変調の兆しもある。※日経3-27/24P1,3,5
  36. 地価:同上/全用途-3年連続で上昇。伸び率が2%を超えるのは1991年の11.3%以来。地方投資も勢いづく/2月に開業した台湾積体電路製造の熊本工場に近い大津町-商業地の一部は33.2%上昇。商業地の上昇率で全国トップ。当面の懸念材料/日銀のマイナス金利解除が及ぼす影響だ。海外投資家への影響懸念。※同上
住宅リフォーム関連
 
住宅ロ-ン関連
  1. 住宅ロ-ン:ネット銀行や大手銀行が、夫婦で住宅ロ-ンを借りる「ペアロ-ン」の開拓に力を入れ始めた。通常の団信よりも上乗せ金利は大きくなるが、増える夫婦共働き世代に照準を当てた商品で顧客を獲得する。ペアロ-ン/1軒の住宅の購入の際に、単独の住宅ロ-ンでなく、夫婦でそれぞれがロ-ンを組むことで借入金を増やす仕組み。※日経3-14/24P9
  2. 住宅ロ-ン:同上-高額物件対応。PayPay銀行/6月-ペアロ-ン向けの団信として新たに、死亡やがんで配偶者の残債までゼロにする保険の提供を始める。同様の団信の提供は邦銀で初めてとなる見込みで、カ-ディフ生命保険と組む。通常の団信よりも上乗せ金利は大きくなるが、配偶者のリスクまでカバ-することで需要を取り込む。※同上
  3. 住宅ロ-ン:同上-りそな銀行と埼玉りそな銀行は10月から、がんと診断された際などに本人と配偶者が抱えるロ-ンの残高をゼロにするペアロ-ン向け団信の提供を始める。第一生命保険も同様の保険商品を開発し、銀行向けに売り込み始めた。ペアロ-ン/特に若い世代で利用が広がっている。※同上
  4. 住宅ロ-ン:大手銀行5行/4月に適用する変動型住宅ロ-ンの基準金利を据え置く。一方、市場金利に連動して基準金利を決めている楽天銀行/3月に比べ0.027%高い1.233%にした。日銀によるマイナス金利政策の解除に伴う市場金利の上昇を反映した。大手各行/今回-変動型の基準金利を2.475%に据え置いた。※日経3-30/24P5
建材・住設・家具関連
  1. 建材:セメント/セメント協会情報-1月のセメントの国内販売量は2,389,285トン、前年同月比5.4%減。前年を下回るのは17カ月連続。建設現場の技術者不足を背景に工事が進まず、主要な生コンクリ-トの販売が増えなかった。2023年度の需要見込み/3480万トン、前年度比6.7%減。24年度/同0.6%増の3500万トンを見込む。※日経3-2/24P17
  2. 建材:鋼板/薄鋼板主要3品種(熱延、冷延、表面処理)の1月末のメ-カ-・流通在庫(速報値)-前月末比223,000トン(6%)増の4,021,000トン。認証不正問題などでダイハツ工業が自動車生産を停止した影響などで、鋼材の消費が減ったとみられる。前月末を上回るのは5カ月ぶり。日本製鉄/能登半島地震による供給網の混乱も影響と。※日経2-8/24P21
  3. 建材:鋼板/薄鋼板の国内流通価格が東京地区で上昇。代表品種の熱延鋼板/3月上旬比1.6%高い。原料高やコストの増加を背景に、日本製鉄など鉄鋼各社が1月以降に商社や問屋向けの販売価格を引き上げた。仕入れコストの増加分を流通間で転嫁する動きが広がった。機械部品や建設資材の価格上昇要因となる。※日経3-16/24P25
  4. 建材:鋼板/同上-熱延コイル(1.6mm厚)の東京地区の流通価格は1トン125,500円前後。3月上旬に比べ2000円(1.6%)上昇。冷延鋼板は同147,500円と2000円(1.4%)高い。亜鉛めっき鋼板は1.3%前後上昇。薄鋼板の需要は振るわない。薄鋼板の1月末のメ-カ-・流通在庫/前月末比6%増の4,021,000トント、6カ月ぶりのプラス。※同上
  5. 建材:建設用鋼材/東京製鉄-4月契約分の全品種の鋼材価格を3月分から据え置く。2月の契約分で一部の鋼材価格を引き上げたものの、建設や製造業関連の需要の伸びが弱い。流通間の価格転嫁の進展を見極めるため、今回は値上げを見送った。全品種の据え置きは2カ月連続。※日経3-19/24P22
  6. 建材:建設用鋼材/同上-4月の価格。H形鋼/1トン127,000円、異形棒鋼/同98,000円、ホットコイル/同107,000円。商社や問屋、加工業者(コイルセンタ-)など流通業者が価格転嫁する動きも見られるが、十分とはいいづらいのが実情だ。※日経3-1924P22
  7. 建材:建設用鋼材/鉄筋に使う棒鋼の取引価格が上昇。原料コストや人件費・物流費の増加を受けた鉄鋼各社の値上げが一部で浸透。人手不足による建設工事の停滞で需要は鈍く、上昇率は小幅。鉄筋用棒鋼の1月の国内向け出荷数量/前年同月比0.1%増の496,693トン。2カ月連続のプラスだが、需要回復の手応えは小さい。※日経3-22/24P28
  8. 建材:建設用鋼材/同上-指標品種の直径16mm品のゼネコンなど大口需要家に販売する価格は東京地区で、1トン118,500円前後と、3月中旬に比べ500円(0.4%)高い。大阪地区は117,000円前後と2000円(1.7%)上昇。棒鋼の値上がりは2023年4月以来11カ月ぶり。※同上
  9. 建材:建設用鋼材/「ときわ会」情報-2月末のH形鋼在庫は前月末比3.9%増の216,000トン。前月末を上回るのは4カ月連続。人手不足による建設工事の停滞などから在庫の増勢が続いている。在庫率/3.20カ月と、1月(3.35カ月分)を下回った。※日経3-22/24P28
  10. 建材:建設用鋼材/日本製鉄-3月契約分の一般流通価格(店売り)向けのH形鋼価格-前月から据え置いた。1月契約分で1トン5000円(約5%)の値上げを打ち出しており、流通市場での価格転嫁の動きを見極める考えだ。※同上
  11. 建材:ステンレス鋼板/日鉄ステンレス-3月契約分のステンレス鋼板の一般流通(店売り)向け価格を前月から3-4%引き上げる。引き上げ幅/冷延薄鋼板でニッケル系が1トンあたり2万円、クロム系が1.5万円(いずれも約4%)。中厚鋼も2万円(3%)引き上げた。原料高に加え人件費や物流費の増加分を反映。※日経3-9/24P24
  12. 建材:産業資材/景気の動向に敏感な素材、燃料などの国内企業間取引価格をもとに算出する日経商品指数42種(1970年=100)が3カ月連続で最高値を更新。3月末値/263.801で前月末比1.6%高。主要商品すべてが上昇か横ばいで、ほぼ2年ぶりの大幅な伸びとなった。※日経3-30/24P19
  13. 建材:産業資材/同上-原油など国際相場が全般的に上昇する中、円安が進んだ影響もあり国内価格が上昇した。石油製品/ガソリン、軽油、灯油のスポット価格が上昇。化学/工業製品などの原料となる基礎化学品ベンゼンの価格が上昇。非鉄/国際価格が軒並み上昇。鋼材/代表品種である薄鋼板の国内流通価格も上昇している。※同上
  14. 建材:三協立山/1月1日の能登半島地震の影響で2024年5月期に20億円程度の特別損失を計上する。石川県や富山県にある工場の建物や設備の修繕などの費用が発生する。前期比84%増の30億円を見込む純利益については「修正が必要になった時点で公表する」としている。工場の再開/最も遅い工場で1月21日。※日経3-12/24P17
  15. 家具:ミサワ/2024年1月期単独-減収減益。売上高120億円(前期/123)、経常益0.48億円(同/5.27)、利益0.12億円(同/3.41)。25年1月期単独見通し/売上高133億円、経常益1.89億円、利益1.28億円。※日経3-16/24P21
合板・木材関連
  1. 合板:農林水産省/合板統計情報-住宅の壁や床に使う国産針葉樹合板の1月末の在庫量は前月比2.3%増の167,961立方m。増加は2カ月連続。住宅着工の不振が続き、合板メ-カ-の販売が停滞していることが響いた。流通市場からは「プレカット工場での加工数が伸びない」との声が多い。住宅のコストカットから建築面積の縮小も影響。※日経3-12/24P21
  2. 合板:国産合板/住宅の壁や屋根に使う国産針葉樹合板の流通価格(問屋卸値、東京地区、厚さ12mm)-1枚1600円と、10円(1%)下落。値下がりは2月中旬以来。2022年6月~23年5月につけた最高値(2000円)と比べて20%安い。主用途の木造住宅向け需要が振るわない。※日経3-14/24P24
  3. 合板:国産合板/農林水産省・合板統計情報-住宅の壁や床に使う国産針葉樹合板の2月末の在庫量/前月比10.1%増の184,935立方m。増加は3カ月連続。木造住宅の着工が低迷しており、荷動きが鈍化。国内メ-カ-/フル稼働時の8割程度に生産を抑えているが、住宅価格の上昇を背景に木造住宅の新築着工件数は不振が続く。※日経3-30/24P19
  4. 合板:国産合板/同上-2月の生産量は前月比0.3%少ない198,472立方m。出荷量は同6.6%減り183,639立方m。※同上
  5. 木材:輸入木材/木造住宅の梁や柱に使う集成材の原料、ラミナ(引き板)が値上がりした。欧州産の1-3月期の対日価格/前四半期比6%高。原燃料高や紅海航路の混乱を受けて、現地企業の値上げ圧力が強まった。国内の住宅市場が低迷する中、原料価格の上昇は製材会社の製造コストを一段と押し上げる。※日経3-6/24P21
  6. 木材:輸入木材/★欧州産ラミナ-主力となる梁向けは現地の木材会社と製材会社の交渉が1立方mあたり265-275ユ-ロで決着。中心値は2023年10-12月期比15ユ-ロ高く、2四半期連続で値上がり。※同上
  7. 木材:輸入木材/★集成材-現地で加工した集成材も値上がり。欧州産集成平角/1-3月期の対日価格-1立方mあたり420ユ-ロと、前四半期比20ユ-ロ(5%)高で決着。ラミナ同様、生産コストと物流費の上昇が響いた。→4月以降の対日価格も値上げを提示される公算が大きい。※同上
  8. 木材:輸入木材/ツ-バイフォ-(2✕4)住宅の壁などに使う北米産木材の4-6月期の対日価格-1-3月期比2%高で決着。上昇は2四半期ぶり。カナダの山火事の余波で供給量の減少が続く中、現地企業からコスト転嫁の値上げ圧力が強まった。日本/木造住宅の需要不振の状況で住宅価格の押し上げ材料となれば、需要回復に影響。※日経3-27/24P27
  9. 木材:輸入木材/同上-2✕4住宅の壁などに使うカナダ産SPF(トウヒ・マツ・モミ類)の4-6月期の日本向け規格(Jグレ-ド)価格は1000ボ-ドメジャ-(BM=約2.36立方m)あたり595-605ドル(海上運賃込み)前後と1-3月期比10ドル(2%)高。値上がりは2023年10-12月期以来。商社「米国向けの価格引き上げ時に対日価格も上げる公算大」と。※同上
  10. 木材:国産木材/国内の集成材-価格の低迷が続く。国産集成平角(4m✕10.5㎝✕30㎝)/東京地区での問屋卸価格-現在、1立方mあたり77,500円。23年7月から横ばい。「ラミナや欧州産の平角は上がっているが、日本の住宅着工が低迷しているため、国内の流通相場は今後も上がりにくい見込みだ」(木材流通会社)と。※日経3-6/24P21
  11. 木材:大林組のグル-プ会社で製材大手のサイプレス・スナダヤ(愛媛県西条市)/北海道釧路市に製材工場を新設する計画をまとめた。中部電力と共同で設立(スナダヤが約80%/中部電力が約20%出資)。日本製鉄釧路工場跡地(約90万㎡)に工場(約19万㎡を賃貸)を建設、2027年4月に稼働予定。投資額/約200億円見込む。※日経3-28/24P43
  12. 木材:同上/80-180人程度の雇用を想定。トドマツを中心とした道産材を原木として、住宅建築用の集成材などを生産。当初は年間10万立方m程度を調達、3年目に36万立方m、最終的には50万立方mまで拡大したい考えで、年間150億~160億円の売上高を計画。今後、大林組と協議のうえ、24年9月末までに結論を得たい考えだ。※同上
不動産・建築・ゼネコン関連
  1. 不動産:オフィスビル/三鬼商事情報-2月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス平均募集賃料は前月比46円(0.2%)高い1坪あたり19,776円。需要が旺盛な渋谷区で賃料を引き上げる動きが広がり、全体を押し上げた。賃料のけん引役/渋谷区-IT企業やエンタ-テインメント、アミュ-ズメント系の企業を中心に移転・拡張が続く。※日経3-8/24P7
  2. 不動産:オフィスビル/同上-竣工から1年未満の新築ビルは280円(1.0%)高い27,845円、既存ビルは24円(0.1%)高い19,613円。行政区域/千代田区-75円高い21,556円、中央区-34円高い17,991円、港区-54円安い19,409円、新宿区-62円高い17,902円、渋谷区-183円高い22,838円。※同上
  3. 不動産:オフィスビル/同上-空室率はわずかに上昇。都心5区全体/0.03ポイント高い5.86%。新築ビル/5.76ポイント低い24.44%、既存ビル/0.26ポイント高い5.43ポイント。港区の既存ビルで起きた大型解約の影響が出た。「賃料を上げる動きが出てきた。需要の拡大基調が定着しつつある」(三幸エステ-ト)と。※同上
  4. 建築:建設物価調査会まとめ/2月の東京地区の建築費指数(工事原価)-マンションや工場で前月から横ばいとなり、直近で続いてきた上昇が一服。空調機器などの価格が上がった一方、軽油安を背景に重機を使った建設現場での工事費用が下がり建築費の上昇を抑えた。同会/建物の種類ごとに工事原価を指数化し、毎月公表。※日経3-15/24P26
  5. 建築:同上/2月の建築費指数(速報値、2015年=100)-マンション(鉄筋コンクリ-ト造)は127.9、工場(鉄骨造)は129.9。ともに過去最高を更新した1月からほぼ同値。オフィスビル(鉄骨造)は130.0と過去最高を更新したが、前月からの上昇幅は0.1%と小さい。※同上
  6. 建設:日本建設業(日建連)情報/2024年2月の国内建設受注額-前年同月比18%減の1兆2887億円。前年同月比では2カ月ぶりのマイナス。資材価格の高騰や人出不足が続き、大型案件が減るなど民間受注額が縮小したことが響いた。民間受注額/同15%減の8459億円。※日経3-28/24P19
  7. 内装:丹青社/2024年1月期連結-増収増益。売上高812億円(前期/642)、経常益39.95億円(同/7.93)、利益27.71億円(同/4.59)。25年1月期連結見通し/売上高830億円、経常益41.00億円、利益28.00億円。※日経3-16/24P21
塗料・素材・原油関連
  1. 原油:日本がサウジアラビアから輸入する原油(DD原油)の価格が小幅に上昇。代表油種「ア  ラビアンライト」の2月積み/1月積み比0.06ドル(0.1%)高い1バレル82.36ドル。中東情勢の緊迫による供給懸念と原油の国際相場上昇を映した。アラビアンライト/上昇は2カ月連続。軽質、中質、重質を合わせた全4種で、それぞれ0.1%上昇。※日経3-2/24/P17
  2. 原油:原油価格が節目の1バレル80ドル手前で足踏みしている。3月上旬にOPECプラスが自主減産の延長を打ち出したものの、国際指標は週間で2%下げて78ドル周辺にとどまった。減産の実効性を疑問視する見方に加え、中国の景気不安も重なり、相場の上値が重くなっている。WTI/8日-1バレル78.01ドルで取引終えた。※日経3-12/24P11
  3. 原油:米ニュ-ヨ-ク市場で、米指標のWTI先物が一時1バレル81.62ドルと前の日から2%上昇し、2023年11月以来およそ4カ月ぶりの高値。国際エネルギ-機関/24年の需給が引き締まるとの見通しを発表し、供給不足が意識された。※日経3-16/24P11
  4. 原油:原油相場が一段と上昇。イラクの輸出削減やウクライナによるロシア製油所への攻撃活発化を受けて、供給減少が意識された。米国でドライブシ-ズンを控え、需要が上向く兆候があるとの見方も価格の上昇につながった。米原油指標WTI先物/18日、一時1バレル83.09ドルと前営業日から2.5%上昇。2023年11月から4カ月ぶりの高値。※日経3-20/24P9
  5. 原油:25日/米ニュ-ヨ-ク市場でWTI先物価格、一時1バレル82.48ドルと前週末から2.3%上昇。ロシアが石油企業に生産減を命じたと伝わったほか、ウクライナによるロシア製油所への攻撃でロシアからの供給が減るとの見方が広がった。※日経3-27/24P11
  6. 素材:塩化ビニ-ル樹脂(塩ビ)/塩ビのインド向け輸出価格が横ばいで決着。国内大手メ-カ-の4月積み価格/インド向け-1トン850-870ドルと、中心値で前月比横ばい。中国向け-1トン795-815ドルと中心値は10ドル(1%)上昇。※日経3-28/24P28
  7. 素材:塩化ビニ-ル樹脂(塩ビ)/国内メ-カ-が値決めの参考にする台湾塩ビ大手の輸出価格-インド向けは1トン830ドル程度、中国向けは1トン805ドル程度。前月比それぞれ10ドル(1%)高くなった。インド/公共工事を中心に既存プロジェクトの進捗が遅れ気味で、需要に影響が出ている。新規の案件も停滞気味という。※同上
  8. 塗料:神東塗料/新社長-小坂伊知郎氏(こさか・いちろう)。1986年(昭61年)東北大院終了、住友化学工業(現住友化学)入社。18年執行役員、21年常務執行役員。宮城県出身。62歳。(6月28日就任。高沢聡社長は退任)。※日経3-2/24P13
環境関連
アジア関係/その他
  1. アジア:中国/ドイツ銀行-香港で中国の不動産大手の世茂集団の法的整理申し立て準備している。債務再編交渉が難航しているため、法的整理の申し立てで打開を目指す。世茂/2023年の中国の不動産販売ランキング-35位。22年7月に米ドル債10億ドル(約1500億円)の元利金を払えず、債務不履行に陥った。今月中に申し立て。※日経3-2/24P12
  2. アジア:中国/経営再建中の中国不動産大手の碧桂園控股-12日に期限が到来した人民元債の利払い9600万元(約20億円)ができなかった。30日間の支払い猶予期間に入る。碧桂園を巡っては2月、同社の債権者である建滔集団の傘下企業が香港高等法院(高裁)に法的整理を申し立てた。※3-14/24P11
  3. アジア:中国/国家統計局情報-2月の主要70都市の新築住宅価格は平均で前月比0.4%下落。販売不振のため9カ月連続で低下し、価格水準は3年9カ月ぶりの低さとなった。買い手の年間所得と比べるとなお適正水準を上回り、割高感が残る。全体の84%にあたる59都市で値下がりした。2020年5月以来の低さ。※日経3-16/24P3
  4. アジア:中国/政府-不動産業界への資金調達の支援を強化する方針を示したことで、市場ではリスク軽減への期待が高まっている。当局/「不動産開発会社の合理的な資金需要を支援する」と説明、一方で「債務処理に苦しみ経営能力を失った企業は、債務再編すべき企業は再編し、破産すべきは企業は破産する」と、過度の保護は行わない。※京貿
  5. アジア:中国/国家統計局情報-1-2月の新築住宅販売面積は前年同期を24.8%下回った。2023年まで2年連続で減少した流れが続き、マイナス幅も拡大した。販売不振で新規開拓が抑制されれば、地方政府が依存する土地収入に響く。地方による財政の景気下支え効果を弱めかねない。※日経3-19/24P2
  6. アジア:中国/経営再建中の中国不動産大手の中国恒大集団-粉飾決算で窮地に立たされた。計5640億元(約11兆7000億円)の売上高の偽証記載で罰金処分が科されることが明らかになった。中国政府/「破産すばきは破産」と強硬姿勢への転換を示唆しており、恒大は生き残れるかどうかの正念場にある。※日経3-20/24P20
  7. アジア:中国/中堅不動産開発会社の遠洋集団控股-2023年12月期の最終損益は200億~230億元(約4100億~4800億円)の赤字になったようだ。市況の低迷で採算が悪化し、不動産の減損引当金が増えた。同社/深刻な販売不振に陥っている。23年の不動産販売額/505億元で、22年比5割減。※日経3-20/24P10
  8. アジア:中国/不動産開発会社の融創中国控股-2023年12月期の最終損益は70億~90億元(約1500億~1900億円)の赤字となったようだ。外貨建て債務再編の完了に伴い、22年12月期から赤字幅が大幅に縮小。同社/22年12月期の最終赤字-276億7000万元だった。※日経3-23/24P14
  9. アジア:中国/中国の不動産企業の苦境が一段と深まっている。香港上場の主要企業の2023年12月期業績/悪化が鮮明で、発表できずに延期する企業も相次いだ。政府/景気全体を左右する企業の下支えに動くが、一部企業では信用委不安が深刻化。恒大や碧佳園/決算延期。一方、有力国有企業は不況と無縁の好調ぶり示す。※日経3-30/24P14
  10. アジア:インドネシア/家具などを作る木工製品メ-カ--アジアやアフリカで新たな市場の開拓を目指している。背景/主要輸出先だったEUで、森林保護を目的とした新規制の導入が進んでいる。東南アジア諸国/強く反発している。※日経3-29/24P15
  11. アジア:インドネシア/新規制-EUの森林破壊防止規制。輸入業者に対して、商品が森林の破壊を招くものではないことを証明する報告書を求める。EUで製品を販売する業者は零細企業などを除き、2024年後半までに同規制を順守する必要がある。※同上
  12. アジア:インドネシア/事例-ジャワ島中部ジョクジャカルタを本拠地とする家具・木製工芸品メ-カ-「以前はドイツなど欧州に輸出していたが、今はしていない。規制強化のためだ」と。現在は東南アジアのレストランやホテル向けに木製食器などの生産に力を入れはじめた。インドネシア家具・手工芸産業協会/各社に、新しい市場を積極的に開拓するよう呼びかけている。※同上
  13. 海外:欧州/大和ハウス工業-施工時などのCO2排出量を半減できる住宅を欧州で本格展開する。部材を再利用できる箱形のユニットを工場で生産し、施工現場の作業などを減らしてCO2排出を抑える。欧州では移民受け入れなどで使う、簡易に設置できる住宅を求めており、環境負荷の少なさを前面に押し出して需要を取り込む。※日経3-16/24P15
  14. 海外:欧州/同上-ユニット増産のためオランダの既存工場に約10億円程度投資。無人搬送車(AGV)の上でユニットを組み立てる生産方式を導入し、2023年12月に稼働開始。工場の人員も2割増やし、500人体制へ。ドイツでは現地企業との合併会社の新工場が本格稼働する。工場の敷地は拡張余地が大きい。※同上
  15. 海外:欧州/同上-オランダの工場拡張と合わせて、従来の1.8倍にあたる年9000ユニットの供給が可能になる。欧州/住宅建設時のCO2排出抑制を求める施主が増えており、再生可能な素材の利用を義務付ける物件もある。再利用できる部材の比率が高いモジュラ-工法は、環境意識の高い自治体などの施主で需要が見込める。※同上
  16. 海外:欧州/同上-不足している学生寮や高齢者住宅向けにもモジュラ-工法の住宅を販売する考え、価格は広さ20㎡ほどの部屋が100世帯程度分ある住宅で7億円程度になる見通し、鉄筋コンクリ-ト造と同程度。同社計画/23年3月期の欧州売上高337億円→27年3月期には500億円に引き上げ、5年間で約15,000世帯分の供給を目指す。※同上
  17. その他:企業倒産/東京商工リサ-チ情報-2月の企業倒産(負債額1000万円以上)は前年同月比23%増の712件。増加は23カ月連続。物価高を要因とする倒産/39%増え、価格転嫁しにくい中小零細企業の息切れが目立つ。人件費の上昇も経営悪化に拍車をかける。年度末にかけて増加基調が強まる可能性がある。※日経3-9/24P15
■トピックス
   <NO.1>
 大学/生かせぬ「富の元」-日米特許収入、格差50倍 起業支援/整備欠く
                              <日経3-3/24P1>
  • 概要:大学の「知」が埋もれたままだ。日米の有力大学の特許取得数は2倍も差がないのに、特許から得られる収入は米国の方が50倍多い。日本の大学は研究成果をビジネスにつなげる専門組織や人材が少なく、せっかくの種を開花できない。国の支援を研究現場だけでなく、事業家への仕組みづくりにも回し、眠る富を経済成長に生かす必要がある。
  • 日本の大学/研究成果を稼ぎにつなげられない:内閣府情報/東京大学や京都大学など特許収入の多い上位10大学の合計額-年平均24億円(2017-2021年)にとどまる。ノ-スウエスタン大学など米国の上位10大学-1178億円で、日本は米国の1/49だ。特許の取得数/1320件と、米国の2347件の半分超あるのに稼ぐ力では大差がつく。
  • 1件の特許を取得するためにかかった研究費:日本の10億円に対し、米国は12億円弱とほぼ差はない。特許収入は企業からのライセンス料などが多く、同じコストをかけているのに日本の大学は成果をビジネスにつなげることがえきていない。「国内の大学の特許で企業に活用されているのは20%に満たない」(東京医科歯科大学の飯田教授)と指摘。
  • 知財で稼ぐには大学内に専門の人材や組織、施設が必要:文部科学省情報/全大学のうち研究者の起業を支援するプログラムがあるには8%、特許の専門家である弁理士を配置しているのも5%に過ぎない。「起業について相談できる専門家が学内にいない。研究と企業準備の両立が大変だ」(都内の私立大学)と。知識不足で大手企業に特許料を安く買いたたかれた研究者もいる。米国の有力大学では特許やビジネス戦略の専門人材がそろう。起業支援の施設も充実している。
  • 国の大学への支援は研究現場に重点を置く:成果を稼ぎにつなげる仕組みづくりには十分に資金が回っていない。研究現場には文部省の予算で年数千億円の助成がある一方、事業化に投じるのは200億円程度にとどまる。知に種を生む研究開発への研究開発への支援は欠かせないが、今後は花を開かせる事業家への支援も手厚くする発想転  換が重要になる。   103-32
 <その2>
 ※老いるマンション(上)
  そして誰もいなくなった/空き家848万戸、56%が共同住宅 <日経3-28/24P5>
  • 増える放置/忍び寄る危機:住民が年を重ねるとともにマンションの老いも目立ってき た。全国で築40年超のマンションはおよそ20年後には3.5倍の445万戸に増える見通しだ。人生100年時代になっても適切に建物を管理しなければ住めなくなる。忍び 寄る住宅危機の実情を追う。
  • マンションの老朽化は全国で加速:東京都/1983年末以前に建てられたマンションを対象に 実施した調査情報-9400棟のうち16%で管理不全の兆候があった。老いたマンションが放置されれば多くの問題が生じる。鉄筋露出や外壁の剥落で住民の暮らしに危機をおよぼす可能性が高まる。地震で建物が倒壊する恐れもある。→賃貸市場への影響も懸念される。投資用不動産情報サイト「楽侍」を運営するファ-ストロジック情報/23年に掲載されたマンションのうち築40年以上の物件が占める割合は2割ほどで、近年増え続ける。同社/「管理不全で入居者がつかないマンションは家賃収入が入らず、想定した利回りを実現できなくなる。維持・管理コストだけが積み上がる」と指摘。
  • 住宅を取り巻く状況は一変:政府/高度成長期-住宅を郊外に大量供給して急増する住宅需要に応じた。→人口減少で都市機能の集約が進み、住環境や公共交通が整う都市部のマンション人気に火がついた。時代に変化に置いていかれた住宅政策のツケがここにきて管理不全マンションとして顕在化する。→総務省情報/全国の空き家848万戸のうち、半数以上の56%を占めるのがマンションを含む共同住宅だ。「空きマンション」が問題の核心にある。
  • 政府/空きマンションの増加の焦り:家屋撤去の最終手段となる行政代執行は、全戸空室であることが条件で戸数の多いマンションには適用されないからだ。高齢化によって親から子へ相続される古い物件は増えていく。適切な管理を怠れば廃墟化したマンションも増殖し、まちづくりに支障をきたしかねない。

 ※老いるマンション(下)
  高齢者、消える老後の蓄え/建て替え負担、1人1900万円  <日経3-29/24P5>
  
  • 改修の合意形成に時間:都内でマンションの建て替え事業を手掛けるデベロッパ-の担当者/「まさか10年もかかるとは思わなかった」。2010年代に管理組合から大規模マンションの建て替えを依頼されたが区分所有者の合意形成が進まず、決議がとれるまで長い年月を要した。→02年に制定されたマンション建て替え円滑化法/改正を経て容積率を緩和するなどマンション再生を進めやすいようにした。ただ効果はいまひとつだ。
  • 建て替え費用:国土交通省情報/法律にもとづく建て替え実績-23年時点で累計114件にとどまる。平均するれば毎年5件ほどしか活用されていない。→背景/所有者にのしかかる重い費用負担がある。建て替え時に階数や戸数を増やせば、デベロッパ-に売却して建設費の原資に充てることができる。だが高さ制限などが妨げとなっている。→★国土交通省の調査/建て替えにかかる1人あたりの平均負担額-1996年までは344万円。資材高などによって2017年~21年にはおよそ「1941万円」と5倍超に膨らんだ。→★金融庁/10年に示した老後の生活に「2000万円」が必要だとする試算は、十分な貯蓄を持たない人たちに衝撃を与えた。マンション住民にとっては老後の蓄えをしていても、建て替え費用がかさめば一気に資金が枯渇してしまう。
  • 修繕積立金:資材高などを受け、建物の大規模修繕に必要な積立金の額も上昇。18年度のマンション総合調査情報/現在の積立額が計画に比べて不足しているマンションが3割を超えていた。→マンションには子育て世代から高齢者まで幅広い世帯が住む。建て替えや改修計画を巡る合意形成は容易ではない。→古いマンションほど区分所有者の高齢化が進む。国土交通省情報/築10年未満の住戸のうち世帯主が70歳以上の割合-8%だった一方、築40年以上では48%に跳ね上がる。
  • 建て替え期を迎える建物は急増/住宅政策が時代の変化に追いついていないとの見方:例えば/面積要件-国の制度は建て替え後に1戸あたり原則50㎡以上を確保するよう定める/マンション購入世帯の平均居住者数は4人を前提。持ち家世帯の入居者数/2018年-2.35人となり減少傾向。築40年以上のマンションのうち面積要件を満たさない住戸/全体の2割程度を占める。単身世帯も増えて、コンパクトな住戸を求める声が高まる。→日本/新しい住宅を好む新築信仰が強いと言われてきた。人生で大きな買い物となる住宅をどう長く活用し、次世代に引き継ぐか、1人ひとりが発送を転換する時期にきている。103-77,78
■情報源:※日経=日本経済新聞 四国版 ※京貿=国際貿易促進協会京都総局
※国貿=国際貿易 ※高新=高知新聞