□2008年公開情報からみた住宅&住宅関連市場動向□-1/2
2008年は原油価格の高騰・急落、米国発の金融危機による世界的な不況に翻弄された年であった。2009年もその後遺症を引きずりそうだ。
住宅関連 |
- 新設住宅着工動向:2007年12月/87,214戸(前年同月比/19.2%減)、2008年1月/86,972戸(同/5.7%減)、2月/82,962戸(同/5.0%減)、3月/83,991戸(同/15.6%減)、4月/97,930戸(同/8.7%減)、5月/90,804戸(同/6.5%減)、6月/100,919戸(同/16.7%減)、7月/97,212戸(同/19%増-13カ月ぶりに前年同月を上回った。前年同月の大幅な落ち込みの反動の面が強い。2002-06年の7月単月の平均値比は7.1%減で動向は軟調)、8月/96,905戸(同/53.6%増、2002-06年比は5.5%減)、9月/97,184戸(同/54.2%増、2002-06年比は7.3%減)、10月/92,123戸(同/9.8%増、2002-06年比は16.0%減)、11月/84,277戸(同/ほぼ横ばい、2002-06年比は19.3%減と減少幅は10月より拡大)。
- マンション市場動向:
- 2007年の首都圏の新規発売戸数/前年比18.1%減の61,021戸、93年以来14年ぶりの低水準。3年連続マイナス。9年ぶりに7万戸を割り込む。近畿圏/前年比0.2%増の30,219戸と微増。10月以降は前年同月比を下回る。
- 2008年首都圏の新規発売戸数-1月/2,320戸(前年同月比/19.1%減)、2月/3,460戸(同/28.0%減)、4月/2,875戸(同/29.7%減)、5月/4,398戸(同/17.7%減)、6月/4,004戸(同/30.0%減)、7月/3,554戸(同/44.5%減)、8月/2,411戸(同/38.8%減)、9月/2,427戸(同/53.3%減)、10月/4,240戸(同/26.0%減)、11月/3,293戸(同/14.9%減、前年割れは15カ月連続)。2008年の首都圏の発売戸数見通し(不動産経済研究所)/前年比31%減の42,000戸程度、バブル崩壊後の1992年以来、16年ぶりの低水準。11月まで15カ月連続の前年割れは過去最長。地価や資材価格の上昇などを反映してマンションの発売価格が高止まりしていることが響く。建設、建材、住設、家具、家電など周辺産業にも影響が広がる。
- 2008年近畿圏の新規発売戸数-1月/1,492戸(前年同月比/44.4%増)、2月/2,226戸(同/34.4%減)、4月/1,248戸(同/39.0%減)、5月/1,791戸(同/25.2%減)、6月/2,556戸(同/7.7%減)、7月/1,786戸(同/29.5%減)、8月/1,161戸(同/7.9%増)、9月/2,047戸(同/48.3%減)、10月/2,164戸(同/18.3%減)。
- 2009年首都圏マンション発売戸数予測(不動産経済研究所)/前年比11.6%増の47,000戸。用地の取得費や建築費の下落で秋には販売価格が08年末より15%程度下落、市況が回復する。ただ2000年のピ-ク時の半分程度の水準、依然として厳しい状況続く。
- 倒産:4月/大和住販・民事再生法(負債総額/55.05億円)。5月/近藤産業・破産手続き(同/322億円)、フレックス・自己破産(同/71.70億円)。6月/フォルム・破産手続き(61.40億円)、矢緒企画・自己破産(同/60億円)、NANBU・自己破産(同/87億円)、インベスト・会社更生法(同/98億円)、ケイ・エス・シ-・自己破産(同/100億円)、愛松建設・民事再生法(同/155億円)。7月/ダイド-住販・民事再生法(同/284億円)、興大・自己破産(同/55.25億円)、マツヤハウジング・民事再生法(同/279億円)、ハウジング大興・民事再生法(同/138億円)。8月/レジェントハウス・民事再生法(同/32.78億円)、セボン・民事再生法(同/621億円)、創建ホ-ムズ・民事再生法(同/338億円)。9月/エフ・イ・シ-・民事再生法(同/130億円)、Human21・民事再生法(同/464.30億円)、シ-ズクリエイト・民事再生法(同/114.42億円)、インテックス・民事再生法(同/54億円)。10月/エルクリエイト・破産手続き(同/60.60億円)。11月/環商事・自己破産(同/158億円)、モリモト・民事再生法(同/1,615億円)。日昭興産・破産手続き(同/417億円)。12月/松本建工・民事再生法(同/138.89億円)、ダイア建設・民事再生法(同/300億円)。
- 特記事項:
- 住宅着工数の減少で住宅メ-カ-の2008年9月中間期決算/減収減益や最終赤字が目立った。
- 地価/上昇傾向が止まった。■住宅メ-カ-/住宅着工数減少対策に動き-垂直多角化など。
- 米国の住宅着工件数/11月の季節調整済み・年率換算値は625,000戸、前月比18.9%減、過去最低水準を更新。住宅市況の低迷は底が見えない情勢。1959年の統計開始以来、過去最低だった10月(791,000戸)を大きく下まわった。許可件数も大幅悪化。
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- 特記事項:1月/△ミサワホ-ム-住宅リフォ-ムの営業体制を拡充。2月/△住生活グル-プ-ホ-ムセンタ-事業強化。5月/△ドラッグストア大手のツルハホ-ルディングス-手すり設置など住宅改修に参入。7月/△積水ハウスなど戸建て住宅メ-カ-9社-中古の戸建て住宅の売買を促す狙いで「優良ストック住宅推進協議会」設立。△ビッグカメラ-注文住宅やリフォ-ムの木下工務店と組みオ-ル電化商品の販売開始。△北海道の住宅メ-カ-・カワムラ-住宅リフォ-ム・増改築工事用の見積書や積算書を自動作成できる積算ソフト開発。10月/△大和ハウス工業-2009年度をメドに住宅の床下点検にロボット導入。11月/△セブン&アイ・ホ-ルディングス-ホ-ムセンタ-事業に参入。2009年から多店舗展開。12月/△大和ハウス工業、住友林業、パナホ-ム、三井ホ-ムなど住宅関連大手-アパ-トやマンションなど住宅の管理・リフォ-ム(修理)事業を相次ぎ拡大。新築住宅の販売低迷の中、中古物件を対象とする事業を収益源として育成、将来の建て替え受注獲得を狙う。
- 特記事項:1月/△イオン銀行-住宅ロ-ンの販売開始。3月/△銀行の住宅ロ-ン貸出減少が目立つ-07年の国内銀行の新規実行額は前年比10.1%減の14兆8,643億円。住宅着工数の影響は今後出てくる見通し。5月/△ゆうちょ銀行-住宅ロ-ン取り扱い開始。△横浜銀行と千葉銀行が呼びかけた「地銀住宅ロ-ン共同研究会」発足、地銀55行参加。△「住宅瑕疵担保責任保険(欠陥住宅保険)法人」-国土交通省は財団法人住宅保証機構と住宅あんしん保証の2社を初指定。8月/△国土交通省-2009年度の税制改正で財務省に住宅ロ-ン減税の拡充を要請する方針。長期間住める優良な「200年住宅」の2世帯住宅を対象に税優遇を新設。10月/△火災保険-保険料が2009年秋メドに現在、住宅の構造に合わせて5区分を3区分に集約。木造住宅の一部/値上がる。12月/米連邦準備理事会-量的緩和政策の柱の1つである住宅ロ-ン担保証券(MBS)の買い取りを1月早々から開始。6月末までの半年間に最大約45兆円のMBSを購入。住宅市場のテコ入れ図る。
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- 建材/住設:建材、住設ともに住宅着工数の減少に伴う市場縮小や燃料・原材料の価格高騰などで関連メ-カ-の9月中間期決算は軒並み悪化。工場閉鎖・集約・効率化の動き/
- 松下電工(パナソニック電工)-(2月)09年3月までに約700人の人員削減、150カ所の営業拠点の2割削減、不採算のエクステリア事業からの撤退。人口減で市場縮小避けられないと判断、事業基盤テコ入れでコスト競争力強化。(3月)2008年度には製造工場17カ所の見直しにも着手、約85億円の費用削減効果を見込む。(5月)人材活用の多様化(ダイバ-シティ)を通じて企業経営を活性化させる「ダイバ-シティ推進活動」を強化。専門組織「ダイバ-シティ推進室」発足。(5月)システムキッチン関連生産拠点再編。7月末にステンレス加工の奈良工場、12月にキッチン完成品組立の群馬工場を閉鎖。09年6月末には門真工場のキャビネット組立工場2棟を1棟に集約。今後は門真工場や真岡工場など3拠点で生産。生産体制を縮小。経費削減効果は09年は10億円。(8月)09年度初めにシステムバスの生産体制を再編する。3工場体制を見直す。少子化で国内住宅市場が長期的に低迷すると判断、需要にあった生産体制に縮小する。再編によりコスト競争力を高める。(12月)国内の生産体制を再編。2010年度までに浴槽や建材など3工場を閉鎖、既公表分と合わせて国内工場数を15から10に集約。従業員も住設建材事業全体の8%にあたる約1,000人削減。景気後退で住宅関連市場の縮小は避けられない見通しで、生産体制を効率化し収益力を高める。
- トステム-(4月)アルミサッシの形材を生産する大生郷工場を9月末に閉鎖、生産機能を近隣の下妻工場に移管。(5月)不二サッシと三協立山アルミや新日軽などの共同出資会社でビル向け樹脂サッシ製造のPSJに資本参加。(12月)住宅向け外装建材などを生産する北海道の北広島工場を09年3月末に閉鎖。同工場の生産品目は近隣の栗沢工場に移管。国内の建材市場が縮小する中で、コスト競争力を維持するためタイや中国の大型工場に量産可能な建材製品の生産を移管している。
- TOTO-(6月)経常利益の4割「中国」。中国での販売網が拡大していることに加え、主力の衛生陶器など建材の需要も高水準で推移。北京オリンピック効果。
- 日本軽金属の建材子会社の新日軽-(4月)従業員の1割に当たる400人削減、三協・立山ホ-ルディングスとの業務提携拡大。
- 三協立山ホ-ルディングスと新日軽-(7月)経営統合することで大筋合意、2年後メドに正式決定。(12月)三協・立山ホ-ルディングスは子会社の三協立山アルミの富山県福岡工場で、09年1月からサッシなどの部材となるアルミ形材の生産を休止。不動産市況悪化による建材需要の減少に対応したもので、グル-プ従業員(全体約1万人)約650人を削減。再開は未定。
- YKKAP-(12月)2013年までに、現在34カ所ある国内工場を最大で10カ所削減する方針。生産体制縮小に先立ち、09年春までに非正規従業員の2割相当の1,000人を削減。一連の合理化で年間90億円の収益改善目指す。住宅需要の低迷が続き、建材市場は今後縮小が避けられないと判断、大規模合理化に踏み切る。
- 特記事項:
- LED照明/普及の兆し-(11月)大和ハウス工業がLED照明事業に参入。国内外の照明メ-カ-からの市場導入や、シャ-プなど異業種からの参入の動きも活発だった。
- 建材値上げにブレ-キ-(12月)建設用鋼材/高騰したH形鋼や山形鋼-東京で約10カ月ぶりに1トン10万円を切り、鉄筋用棒鋼を含む主要3品目そろって大台を割り込む。年明けにはほとんどの鋼材が大台割れの公算大。板ガラス/再値上げ不発の公算。セメント/値上げの上げ幅を圧縮の方針。住宅用製材品/卸価格が下落。背景は需要減退と原燃料価格の下落。
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- 家具:市場動向/家具市場も住宅市場の落ち込みで低迷。ニトリ以外は苦戦。
- 特記事項:2月/△北海道東川町・家具製造8社-子ども用家具・遊具ブランド「ひがしかわキッズコレクション」を立ち上げた。4月/△岡村製作所-つくば事業所内にオフィス家具の新工場を建設。総投資額は120億円、稼働予定は2010年6月。6月/△ニトリ-家具、インテリアなど268品目を平均19.6%値下げ(業界/値上が相次ぐなかでの値下げ)。中国・アジアの工場からの輸入コストが円高で低下しているため。
7月/△ニトリ-8月にも、全商品の約5%にあたる360品目前後を追加値下げ。下げ幅は平均20%程度。10月/△ニトリ-2008年8月中間期連結-増収増益。11月/△岡村製作所-茨城県つくば市で進めていたオフィス家具工場の増設を1年先送り。景気減速を受け企業のオフィス増床や移転需要の減退に対応。投資額・規模縮小も検討。
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■□情報源:日本経済新聞、日本国際貿易促進協会京都総局業務報、国際貿易
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