中国レポート
韓国炭化木材
9月11日の日本政府の尖閣諸島国有化に対する中国の反発が激化しての、中国国
内における反日デモとその暴徒化がニュースの中心となっていた事も少し落ち着いてきてい
ますが、いまだ日中の政府に事態収拾への動きがないまま1か月過ぎようとしています。
お互いにこの問題より他にやらなければならない国内問題が多くある事も、事態収拾に
集中できない原因になっているのでしょうが、現状において経済自体が日本と中国の相互
協力関係がなければ成り立たない状況にある事を考えれば、最優先事項として対応して
ほしいと願うばかりです。
基本的に現時点では精一機械が在る広東省中山市においては、日本の大手企業キ
ャノンの工場内において、反日デモに便乗した一部従業員の賃上げ要求による職場ボイ
コット等があったと報告されていますが、中山市の市中ではデモも騒ぎもなく周辺都市で大
規模なデモがあった9月16日の日曜日もスーパーのJASCO中山店も通常通り営業され、
いつも通り中国人の客でにぎわっていました。(同日起きた青島でのJASCO襲撃事件の
関係で、17日だけ休業した)
当レポートもこの尖閣問題が大きく取り上げられている時点で、その問題を取り上げない
で他の事項の話もしにくいと考え、今回は同じような領土問題がくすぶる韓国の少し変わっ
た技術(全く新しい技術ではないのですが・・・・)を紹介しようと思います。
ADPEC韓国からの紹介で、独自の技術で炭化木材を専門に生産している会社に関し
ての情報です。 この会社は韓国仁川にあるTAEYOUNG TIMBER
CO.,LTDという会社
で、社長のYong氏が独自の考え方で長年かかって開発した特殊な装置を使って、スライ
ス単板から直径1mもある丸太まで炭化してしまう事で、現在韓国内でデッキ・外壁材・家
具部材・フローリング・フェンス・楽器・サウナ材や重要文化財の修復木材等に実績を伸ば
しています。
韓国のDaejeon(太田市)にある国立THUNGNAN NATIONAL
UNIVERSTY(忠南大
学)の林産工学部の協力を得て、物性等の基礎データーの収集や用品開発を進めていま
すが、大量に使用される用途への開発が今後の課題だと言われています。
炭化の程度によって物性も大きく変わることで、用途も様々なものが考えられていますが、
同時に木材の色も徐々に褐色から黒へと変化していきますので、その色を特徴として商品
化するものや、物性を重視して塗装してしまう事も考えられているようですが、あくまで素材
の色と自然の炭化の色を大事にしたいとの気持ちがあるようです。
その為か、白系の木材が炭化して色が変わっていきコーヒーのモカの色になる事から、商
品名をMOCCA WOODと名付けられています。
私は炭化木材に関しては全く無知で、2度程この会社を訪問して感覚的にやっとどのよ
うなものかを理解した段階ですが、日本やヨーロッパにある炭化装置や炭化木材とそこが違
うのかの質問に、Yong社長は他の国の事は解らないので比較できないとの返事、実際には
知っているのだと思いますが・・・。
炭化木材の特徴としては、科学薬品等を一切使用しない事で未処理木材に比べて寸
法安定性が非常によくなる事、炭化レベルによっては未塗装品でも30年以上の使用に耐
える事、炭化レベルを調節することで自然な色(褐色)が得られる事から特殊な着色を必要
としない、木材の害虫処理同時に行えることになる事などですが、同じレベルの他の処理を
する事に対する低コスト化が可能かどうかの比較も重要なポイントだと思います。
この会社で使用している炭化装置は、韓国で設計されて製造されたもので、基本的に
は木材乾燥機の構造とほぼ同じですが、高温処理をするためにガスバーナー仕様となって
おり、木材乾燥と炭化処理を同時に行う方法がとられています。 基本的にはそれぞれの
木材の樹種と形状・大きさ及び炭化のレベルによって、内部の温度と湿度に関するスケジ
ュールがポイントになり、長年かけてそれぞれのスケジュールを決めた事で製品化に成功して
いるとの説明でした。
現在この会社は拡張計画が進んでおり、今後は海外からのOEM生産の受注も積極的
に行う方向で考えているようです。 又、乾燥設備と各樹種のスケジュールを条件付きで
販売する事も考えているようですので、興味のある方はご連絡いただければ対応いたします。
中国との経済関係がこれ以上冷え込まないように願うばかりです。
2012年10月10日
車田 修