中国レポート
中国内需動向
9月に入っても残暑がきびしく蒸し暑い日が続いていますが、日本国内の景気の落ち込
みをよそに日本の政治の政局にしか頭になく、やるべき仕事をしない国会運営にも呆れて
いるこのごろです。
日本国内の経済の動向も気になるのですが、国内営業に力を入れる手法が見当たらな
い現状において、中国国内の経済の動向の方がより気になり、最近ネット上でよく見かける
中国経済破綻が間近に迫っているとか、現時点ですでに破綻が起こっているとかの情報も
あるようですが、私の考えでは中国の政治と経済のシステムが日本や欧米の民主国家とは
全く違う次元で動いていることから、一般の経済指標や数値では判断できないと考えていま
すし、もともと中国政府から出てくる各種の統計等の数値はどこまで信憑性があるかわから
ないと思っています。 GDPに関しても2010年に日本を抜いて世界第二位の地位を確保
したことになっていますが、ある意味では人口が日本の10倍もあるのだから当たり前とも取れ
るし、本当なのかとの疑問も残るのも、体面を第一ととらえる中国政府の体質から考えて数
値の上では当然なのかもしれません。
いずれにしても中国の経済を支えているのは、世界中から集まった大手外国企業の中国
工場と民営化していても実質的な中国国営企業、それらの生産品の輸出、13億の人口
による内需ですが、GDP世界第二位といわれている実力のほとんどが、外資系企業が持ち
込んだ資金と技術に支えられていることは間違いないと考えた方がよいと思います。 又、
13億超の人口が生み出す内需に関しても、富裕層といわれる約10%の人口が消費の約
80%をまかなっている現状において、中国バブルが崩壊するとか、経済破綻だとかを議論す
る根拠がずれているのではないかと思います。
中国において労働者の人件費の高騰が話題になっていますが、政府指導による最低賃
金の引き上げや、農村部の社会保障の整備が急速に進められており、沿岸都市部の労
働者賃金はこの数年急激に上昇してきています。 数年前までは最低賃金の引き上げが
賃金の上昇を促してきましたが、ここ2年から3年の賃金上昇は都市部における労働者不
足が大きく影響しており、一般消費材の物価上昇もあり賃金の上昇率が急激に高くなって
きています。 これらは国内需要を活性化して景気を回復させる手法としてリーマンショック
後に行われた、家電の補助金とか市中にお金を溢れさせる方策には限界があり、前述した
富裕層にお金が集中するだけで思ったように消費に回っていかない事、今の中国においては
中間層といわれるもっとも内需を支えるべく人口が極端に少ない事から、中間層を増やす対
策の結果として賃金上昇があると考えることもできるのではないかと思っています。
このように中国国内を含めた事業展開をする立場で、中国経済における内需の動向を見
ていくと違った観点からの見方も出てきますが、中国の経済が破綻するかどうか等の予測は
私にはまったく解りませんし、これだけの大国の経済活動においては世界経済の動きの影響
も大きく、常に浮き沈みがあるのは当然の事ですので、何を基準に破綻とか言うのかも私に
は理解できないことです。 現実には中国という一党独裁の社会においては、私たち日本人
には理解できない経済運営が行われている事や、公表される各種の統計データーがどこまで
信頼できるか全く不確実である事を常に頭において、各企業の経営者が対応していかなけ
ればならない時代がまだ数十年続く可能性があると考えていますし、ロシアが8月22日に
WTO加盟国となった事も中国経済と世界経済に大きな影響を与える事になるかもしれま
せん。
しかしながら、日本国内の経済も政府の対策により大きく影響を受ける事に違いはないの
ですから、今の日本の政治なんとかならないですかと言いたい気持ちが、今後の行き先の不安
につながってしまう事にならないようにしたいですね・・・・・。
2012年09月10日
車田 修