中国レポート
中国通販事情
今月に入って、中国広東省も梅雨が明けた感じで青空に積乱雲という真夏の様相に
変わってきましたが、まだ天候は不安定で亜熱帯地域のにわか雨(スコール)が数時間お
きに降るので地面が加湿器状態となり、より蒸し暑くなっています。7月10日過ぎ頃から
は連日35℃の真夏日が約3ヶ月近く続く事になります。
今回は、今年5月末で楽天が1年半余で中国のネット通信販売から撤退した事や、
ヤッフーも淘日本というサイトを閉鎖する事を決めたとしている事から、実際の中国国内
でのネット販売に関しての情報をお伝えしたいと思います。
中国の大手の検索サイト阿里巴巴(アリババ)の马云(マイン)と言う経営者が2003
年に始めた淘宝(タオバオ)と言う、アジア最大のネット通信販売サイトは、多くの業種
にわたり中国国内では圧倒的なシェア(約80%)を占めており、登録会員は約5億人
と言われていますが、日本のネット通販とはかなり違ったシステムになっていますので、
その利用の方法等を私が聞いた範囲でお伝えします。
まず淘宝に登録する必要があり、その後支払い方法に多くの選択肢があるようなので
すが、安全性と便利性から多くの中国人は、自分の中国国内の銀行口座から淘宝の
支付宝というシステムを使って、各店舗に支払いをします。
しかし、たいていの人は買い物をする前に自分の銀行口座から淘宝の口座にお金を
入れておくことになる事や、淘宝から各店舗に実際にお金が振り込まれるのが、1週間
から2週間後になる(これは噂の世界かもしれません)事から、相当額のお金が常に淘
宝の銀行口座に据え置かれることになり、その銀行利子だけでも運営できる以上の利
益が入ることになり、淘宝は昨年この利子は国に差し出すと発表したようですが、現実
にはどうなっているか解りません。
基本的に日本の通販に見られる、クレジットカード決済に関しては中国国内ではまだ
一般的に普及していない事、銀行振り込みは、先にお金を振り込みに行かなくてはなら
ない事になり、淘宝の支払い方法のなかには有るようなのですが、便利性に問題があり
あまり利用されていないようですし、配達業者を通して支払う方法は問題外のようです。
ここで、淘宝の支付宝を経由して決済する事が多くの中国人に受け入れられたようです。
その他に日本の通販では考えられない方法が取られているのですが、それはインターネット
の淘宝の各店舗にはそれぞれの店に専属の店員が居て、客とインターネットチャットを使っ
て直接会話ができるシステムが定着している事です。
淘宝の各店のサイトに行くと、販売員が現在在籍しているかどうかが解るようになってい
て多くの店が24時間体制で対応しており、品物の在庫確認・納期・仕様の説明から、も
っとも肝心な価格交渉までできるようになっているのですが、そこで支払いが客から淘宝の
支付宝で実施されたかどうかを確認でき、品物の発送をその場で手配する事になっていま
す。
このように中国の社会において、買い物をする人の便利性や安全性を優先して、中国
人が買い物をするのに楽しみの一つとして考えられる、価格交渉もネット通販に取り入れ
ている事にはびっくりしました。
日本のように、アメリカの物まねから発展した通販とは違い、中国独自の文化の中から生
まれてきたネット通信販売なのかと感心する一方、楽天が撤退した理由の採算が取れない
との原因は数字上の問題であり、淘宝に対抗する事に負けたと言う事が真実なのかもしれ
ません。
中国国内での全ての物品の販売は、このように日本人や欧米人の感覚とは違う発想で
現実には動いているのだと思いますし、日系企業が中国国内での販売に苦労しているのも、
発想を変えていかないと上手くいかないのかもしれませんね。
2012年07月10日
車田 修