中国レポート
中国の精一機械・引き合い状況
中国・広東省も4月に入って、気温も安定してきて20℃から25℃の過
ごしやすい状況なのですが、景気の方は今ひとつはっきりした変化が現れな
い状態が続いています。
中国国内におけるフローリングメーカーの新規設備の引き合いは、ほとんど無いに等しく、
時々改造や部分的な増強の話があるようですが、住宅や不動産の値下がりの影響が有
ると言われているのとは別に、地方都市ではまだまだ住宅の建設は盛んに行われており、
地域的な景気の格差が有る中で広東省は悪い部類に入るようです。
精一機械においても、ラインでの受注案件に関しては、中国国内向けの引き合いより、
海外向けのものの方が多く日本向け、ベトナム向け、トルコ向けのフローリング塗装設備や
キッチンパネル等のラミネートや塗装設備が受注されている状況の中、中国向けの設備は
ラインでの受注ではなく、不燃ボードの自動投入や積載設備の単体での受注案件や、
家具向けやパネルの塗装向けのロールコーター・ロボットスプレー塗装機・サンダー・UV照
射装置等が数台単位で出荷されている状況です。
業界としては、木質の家具やフローリング業界ばかりではなく、不燃ボード(セメント系ボ
ード)や自動車関連の設備・アルミ材料等の生産設備・FRP樹脂関係の製造関係等、
板物やシート形状等の類似した物の搬送や製造設備、サンダー・ロールコーター・スプレ
ー塗装・乾燥機から派生する異業種からの引き合いも出始めており、私たちが日本で経
験した以上の広い範囲からの引き合いが増えてきています。
当初、精一機械はロールコーター・サンダー・UV照射装置の量産メーカーを目指すつも
りで立ち上げ、付帯する搬送設備省力化自動化設備も併せて、ラインメーカーとしても
中国国内でのトップメーカーを目指してきましたが、各業界における急激な景気の変動や
コストに対する多種な考え方を持つ中国の中において、類似機械設備の量産メーカーと
しては、長い目で見た場合は継続できない可能性が大きく、中国に多くある低コストの量
産機械メーカーもここに来て先が見えなくなってきている状況になっているようです。
当初ヨーロッパや台湾メーカーのコピー品を、中国の大量の内需に対して量産して会社
規模が大きくなったメーカーは、技術面で軟弱なところが多く標準品からはずれた仕様を
要求すると、できないとは言わないが、見積もりに時間がかかるとか、確実に買ってくれるな
ら設計をして見積もりを出すとか言う状況で、基礎的な技術の蓄積が多くない為、応用
がほとんどできない様です。
精一機械は、中心になる技術設計者や管理者がコンベヤーや特殊な生産設備の自
動機を手がけてきた関係から、アミテックからのサンダーの技術供与や杉井鉄工所からの
ロールコーターやフローコーターの技術提供・UV照射装置の基本技術に関しても、当初
から量産していく方法をとらずに、中国の客先の要望に合わせた改善(中にはコスト面か
らの設計変更)を積極的に行い、中国国内ではコスト面では若干高いが高品質で高性
能の商品だと言うJ-ONEブランドを確率させて来て、同時に、日本向けのラインにおけ
る自動化設備の製造から、多くの技術を習得する事が可能になり、この業界における自
動化設備のメーカーとしてもその地位を確立してきています。
現在は、フローリングの塗装ラインをJ-oneブランドの中心にしていますが、工場で生
産する設備は業界や設備も多種にわたり、ある程度の産業設備に関しては日本の関係
会社の支援を受けられる事もあり、設計を含めて対応できる状況を確立させてきています。
一時期は、中国のあるロールコーター月産100台以上の生産体制があり、サンダーメー
カーも月産数十台の生産を行っており、コストも精一の1/2以下のところと競争しなけれ
ばならない状況の中において、思ったより利益が得られない現実が続く中、多種な設備の
開発も手がけてきて、大手のフローリングメーカーへの実績を少しずつ伸ばしてきた関係か
ら、他業種への納入も増えてきています。
基本的には中国において、ある程度の量産を目指す方向でスタートしたのですが、競争
と需要におけるコスト範囲が広い事等から、何を低コストで大量に生産する体制を確立し
たら良いかを絞りきれない為に、短期間のうちに方向転換をする事になり(現実には日本
の設計基準で精一で生産した物は、当時は高すぎた事もあり、日本向けの設備を製造
する方向からスタートしなければならなかった)その方向性が、現在の中国国内の景気低
迷時期においても何とか継続していける状況を作り出していると考えています。
人工が多くて急激に成長を続ける中国の中における設備機械の動向において、低コスト
商品が大量に売れる時期は思ったより短く、その後の動向は私たちが日本で経験したと同
じように推移していく事になりそうです。
今後の10年間に私たちができることが何なのかが、もうすぐ答えが見つかるかもしれません。
2012年4月10日
車田 修