中国レポート
上海郊外の都市化
9月の後半に入ってから、日本は秋を通り越してしまったように急激に温度が下がってきて、
地域によっては冬の様相が顔を出し始めた所も有るようです。
広東省でも30℃を超える日はなくなり、天気が良くても最高気温が25℃近辺まで急激
に下がってきて、一番過ごしやすい時期になっています。
先日、上海から杭州の中間地点にある嘉興市の嘉善と言う所に出張して、そこのプレス
メーカーを訪問してきました。
嘉善は上海虹橋の高速鉄道駅から高速鉄道に乗って25分位の場所で、感覚的には
上海の近郊の町という位置づけだと思いますが、高速道路を使うと上海の中心までは1時
間半以上かかる場所なので通勤範囲かどうかは疑問なのですが、近年上海地区や嘉興
市内に比べてマンションの価格が安い事や、嘉興市内への通勤圏内で有ることや上海まで
もそれほど遠く無い範囲だと言う事でしょうか急激に発展し始めている地域のようです。
高速鉄道の止まる嘉善南という駅の周りは、まだ何もない平地に駅だけがと言う感じなの
ですが、少し車で移動すると建設中のマンション群がやたらと目に付きます。
地元の人の話では、この地区の人は金持ちが多く優良な企業の誘致が盛んに行われてお
り、今正に発展の路線に乗ったところで、物価も急激に上昇しているが今後楽しみな所だと
話されました。
先日訪問した、東北地区や四セン地区と同じような発展途上の地域がまだ上海の近郊に
も有ったのかと思うような話でしたが、確かこの辺は10年位前に上海から杭州を通って寧波
にある日系企業を訪問するとき、何回も高速道路で通ってながめていた場所なのですが、上
海から郊外に出て田園風景の中に3階建ての戸建て住宅が所々に点在して、屋根の上に
独特の避雷針(形状は串団子型でぴかぴかのメッキ仕上げ)が付いていて、全体に大きな家
が多いのですが、中にはすごい豪邸と思われるような家もあり中国の中でも異色な感じの地
域だと思った記憶があります。
当時の説明では、この地域の農家は上海という大消費地が近くに有ることから、金持ちが
多く家も一戸建ての高級住宅になっているという事でした。
近年中国では、北京オリンピック・上海万博を経て上海の町も郊外に急速に拡大して来
ていますが、中心部の地下やマンション価格の高騰もあり、そこに高速道路や鉄道の整備が
追いついて来ている関係から、郊外の農業地域も急激に都市化の波が押し寄せで来てい
る感じで、以前の日本の東京や大阪の郊外の都市化と同じように規模をさらに大きくする都
市化が進んで来ているようです。
中国の景気の鈍化が問題になって来ている事は、アメリカやヨーロッパの金融関係の問題に
よる景気悪化や日本での震災等の影響による景気回復の大幅な遅れ等が影響してきてい
ると思われますが、中国の内需に関してはまだまだ落ち込む気配は無く、今後、景気の波は
有ると思いますが、不動産関係の行き詰まりが大きく表面化しなければ、全体的には強固な
内需に支えられて当面は順調に推移していくと思われます。
今後10年持つかと言われれば、それはかなり難しいと思いますが、政府による金融機関の
微妙なコントロールが現在も進んでおり、今年に入ってからかなり引き締め策を取っており、こ
の9月の国慶節前は中小企業の仕事がかなり減っている状況が出ており、昨年までは精一
の外注加工業者も強気で、納期のトラブルや品質の問題もあったのですが、今年の春過ぎか
ら徐々に仕事が減ってきて現時点では、お金が回らない現象が出始めているようです。
国慶節明けには、金融引き締めも緩和していく事になっているようで、微妙なコントロールに
よって、不動産関係に流れるお金を止める努力をしているようにも感じています。
プレスメーカーを訪問してのレポートは、次回にする予定ですが、中国の木工機械業界事情
を少し除いた感じがしています。
2011年10月10日
車田 修