中国レポート
韓国「巨林物産」設立
韓国の経済はウオン安を背景に輸出産業が好調で、外部から見ると順調に回復基調
にあるようですが、現実には国内経済は冷え込んでおり、大企業のみが潤う構図が出来
上がってしまったようです。日本と同様に大企業優先の政策が採られる中、中小企業労
働者や農業従事者の低位所得層と高位所得層の格差、特に農村部と都市部との比較
においてもグローバル化が進むにつれ拡大してきており、現在は11倍の所得格差があると
いわれています。都市部でも7倍の格差があると言われており、日本に比較して2倍位の
格差があるようです。
日本においても、統計数値は基準をどうするかでさまざまであり、以前に比較して格差は
縮小しているとのデーターもありますが、逆に個人における所得格差は非正規雇用者・フリ
ーターの増加や失業率の増加もあり、かなり貧困層が増えてしまっているのは確実だと思い
ます。
中国や発展途上国に比べれば韓国の所得格差はまだ少ないと思いますが、現韓国政
府が2008年から進めている4大河川開発事業は、環境問題等で中止訴訟が出るくらい
韓国国内や世界の環境問題の団体等において問題となっていましたが、2010年にはす
べての訴訟に韓国政府が勝訴する結果となり、現在急ピッチで工事が進められております。
仁川国際空港からソウルに向かう高速道路沿いの河川も大規模な工事が進められてお
り、高速道路から移動途中に少し見ることができますが、日本でも過去において見られな
いような大規模なもので完全に運河を作っているような感じです。
その反面、住宅着工数は一昨年から急激に落ち込んでおり、工事途中のマンション建設
も中断している所が多いと言われています。
河川工事に伴う、橋や高速道路整備も含めた土木工事の経済効果は一部の部門へ
の波及効果しかなく、住宅建設のような即効性のある経済波及効果は期待できない為、
ここにも大手建設会社のみが潤う構図が出来上がっているようです。
こんな韓国の経済状態の中ですが、アドペックグループは10年以上交友関係にある韓
国の姜氏・李氏を含めた関係者との合弁企業を今年3月、韓国に設立しました。
会社名は「Future’s Forestry Corp.
株式会社
巨林物産」で、本社は韓国のほぼ中心
部に近い位置で5番目の都市である「大田市 Daejeon-city」にありますが、ここは韓国の
科学技術の中心地として知られており、政府機関や民間の研究所が100以上集まってお
り、宇宙工学や生命科学の研究も行われている場所です。
この会社はアドペックグループや中国・精一機械の韓国の総代理店という役割だけではな
く、代表者の姜氏の所有するBWS・BWNの特殊高硬度表面材やナノ塗料(無機ハイブ
リッド塗料)含浸技術をベースにした、フローリングや硬質木材を応用した商品化と販売活
動、フローリングの塗装・加工ノウハウと精一機械の設備をセットとした、韓国内や東南アジ
アへの販売活動を目的として設立されました。
韓国ルートによるマレーシアやベトナムへの接点もあり、今後のアドペック及び精一機械の
世界市場に向けた展開の中心的な役割を期待しています。
設立後の韓国内での営業活動において、韓国国内の学校向けの床材にBWS(高硬質
特殊表面材フローリング)が採用される事が決まり、今後定期的に学校の床張替え需要に
合わせて納入することになりました。
その他、韓国での新技術で生産されているPET-G系の表面材(印刷フィルム)の海外への
販売活動、韓国製シリコン系コーキング材の海外への販売活動、韓国内合板会社からの
依頼による、中国からのユーカリ単板の輸入販売等が具体的に動き出しており、日本・中
国・韓国におけるネットワークの効果がこれほど短時間に現れるとは仕掛け人としても、驚い
ています。
今後それらの販売活動に合わせた設備の販売に関しても、中国精一機械での生産メリッ
トを生かした価格設定(従来の日本製購入部品中心の設定から、韓国製・台湾製・中国
製の信頼のある購入部品をセットして、設備の価格を限界まで抑える)を具体的に進めてい
き、世界への設備販売に向けた活動を推進していく予定でいます。
日本国内においても、設備投資の金額を抑える方向性が各企業から出されており、従来
からの既成概念からの脱却と、新たな価値観が今後現れてくると考えています。
2011年06月10日
車田 修