中国レポート
UV転写印刷システムの紹介
東日本大震災も復興に向けて動き出していますが、建築資材不足や電子部品及び
樹脂の供給不足はまだ当面解消される見通しがたっていないようで、被災地のみでな
く日本中の経済に大きな影響を与えています。
海外においても日本からの電子部品等の供給が少ない為、影響が出ていると言われ
ていますが、中国国内においても自動車産業は早くから影響が出ていると騒がれていま
したが、ここに来て携帯電話や家電製品においても、日本製の半導体・チップ・ガラス
基板等の在庫が切れてきており、価格が高騰し始めていると報道されています。
私どもが製造する生産設備においても電子部品の供給不足や樹脂関係の不足から、
電気制御の機器や電線等が入らない状態が続いており、中小の設備メーカーにおいて
は景気が回復しつつあった中、足をすくわれて致命傷を受けた様な状況になっています。
しかしながら今の現実を受け止めて、一歩ずつ前を向いて進んでいく以外に方法はあ
りません。
今回は、中国の広東省珠海市(中山市とマカオの間)に在るUV塗料メーカー(珠海
東誠光固化材料有限公司)と精一機械が共同開発して、昨年初めから中国国内で
販売を始めているUV転写フィルムを使った建材ボードへの転写印刷システムを紹介い
たします。
3年位前から共同で開発が進められて、試作設備を作って実験を繰り返していました
が昨年から設備の販売を本格的に初め、中国国内で現在10ラインが稼働しています。
このシステムの特徴は、従来フィルム転写印刷で使われてきた熱転写のシステムでは、
インキによる印刷の為、屋外や紫外線があたる場所では色あせ等の問題が発生しやす
い為、外壁や室内においても太陽光線が多く当たる場所等には使われておらず、一般
住宅のキッチン周りや、浴室等の壁材等に一部使われている程度でした。
今回のUV転写システムは、機材の下地処理・転写フィルムの印刷・上塗りに関して
全て耐紫外線の特殊UV塗料が使われており、窯業建材・木質建材への密着性と耐
紫外線に優れており、ビルや一般住宅の外壁・公共設備(駅舎や通路等の壁材)等
の太陽光線があたる場所にも使うことができ、木質床(フローリング)への木目等の印刷
にも使用できる事から、最近の日本で増えてきているシート貼りから、より質感が良くて
コスト的にも安価になる可能性を持った、UVフィルム転写印刷に変える事ができるかも
しれないと、考えています。
中国においても、現在はセメントボードへの印刷が多く、高層ビルの内装等に軽量化
の目的として、陶板や大理石に変わって使用され始めているようですが、一部の家具
部材メーカーも導入したと聞いており、又フローリングメーカーがMDFの表面や木目の
無い化粧単板に直接転写印刷をして、商品化しようと現在導入を検討しているよう
です。
シート貼りのように剥がれの心配もなく、化粧単板の表面への印刷であれば中国では
本物の木質表面材のフローリングとして売れると言っていますが、日本でも着色や塗装
の一部と考えれば、同じ理論が通るかもしれません。
技術内容に関しては、実績の確認と日本向けの資料等を準備していますので、出来
次第報告したいと考えております。
興味のある方は、ご連絡下さい。
2011年05月10日
車田 修