中国レポート
中国の人手不足事情
今回も、また日本向けのフローリング塗装ラインの立会い試運転の関係で中国・精一
機械に来ています。
日本を縦断した台風18号もその規模の割には被害が少なかったようで一安心です。
4日にフュリピンから香港に向かっていた台風17号はUターンしてこちらには影響が無く、
多少すごしやすい気温になってきたものの日本に比べればまだ少し蒸し暑い気候が続い
ています。
最近、精一機械にたいしてフロアーメーカーや家具メーカーから、自動投入装置や積載
装置・自動塗装設備等の省力化の引き合いが増えてきているようです。
背景には、人件費の高騰が主な原因として考えられるのですが、精一機械においても
工場労働者に関しては開業時の約2倍以上になっており、1ヶ月平均賃金で日本円換
算では開業時13000円/月が現在26000円/月位になっている感じです。それぞれ
の業界においては製造原価に対する人件費の比率によるのでしょうが、精一機械ではか
なり作業効率を上げる努力をしてきている関係と鋼材の値下がり円高の影響で日本向け
の価格には大きな差は出ていないと考えています。
現実的な他の原因は、人手不足の要因がかなりあるようで、特に広東省は昨年9月か
らの米国・リーマンショックの影響で輸出産業を中心に大幅なリストラを行い、多くの地方か
らの出稼ぎ労働者は職場を失い故郷に帰って行きましたが、今年の後半に入ってからの
中国国内需要の景気に支えられた回復基調に対して雇用を増やす必要がでてきたので
すが、人が戻ってこないという現象が起きているようです。
この原因は中国政府が最近農村部での社会保障の制度を充実させてきたので、農村
部の人々の生活の不安定さが精神的にもかなり解消されて来ているのと、特に広東省は
四川省からの出稼ぎ労働者が多かったので、四川地震の復興等で故郷での雇用が大幅
に増えている為、あえて都市部に出稼ぎに来る必要性が薄れてきたと考えられているよう
です。
今後、このように軽産業の業界にも自動化が促進されて来る傾向が出始めており、コス
トダウンとより高品質の商品の生産が求められる傾向と併せて、自動化・省力化の設備投
資が積極的に行われる時期にさしかかっているのは間違いないと考えています。
しかしながら、中国の内需によって国内景気は良くなってきているとは言うものの、いまだに
輸出メインの企業は操業が戻っておらず、中国が真の景気回復と成長路線に戻ったとは言
えない状況なので、日本の一部の景気回復基調も中国の内需の影響による所が大きい感
じがして、安定的な回復はまだかなり先になるような気がしています、新しい政府の政策に
期待するだけの消極的な考えから脱却して、新しい方向性を決める時期に日本企業も来
ているのかもしれません。
2009年10月10日
車田 修