中国レポート
韓国HPLシートの紹介
日本の政権交代の話は、中国や韓国に行っても話題になる位、海外においても世界不
況の中、日本の今後の経済を左右することもあり、注目されているようです。
中国の景気は日本と違い、確実に回復してきているようで、精一機械に関してもボツボツ
新規のフローリング塗装ラインの受注が決まってきているようです。
先日韓国を訪問しましたが、まだまだ日本の円高とウオン安に苦労している話が多い中で、
国内的には輸出を中心に経済も安定してきているようで、ソウル市内や近郊では数年前か
ら輸入が可能になった外国の自動車、特にベンツ・BMW・レクサス・ボルボ等の高級車がか
なり増えてきているようです。
今回は数年前から開発をしてきたHPLシート(天然木単板高圧プレス樹脂化シート)の
情報をお伝えしたいと思います。
開発・商品化をしているのは韓国のJSフローリングと言うフローリングメーカーですが、現在
自社ブランドの他に、主にLGケミカル向けや高級キッチンメーカー向けに、一般フローリング・
水性着色をしたカラーフロアー・フローコーターによる厚塗りの高級仕上げのフロアー(韓国で
は標準寸法が75mmW×900mmL×7mmT)を月に6万坪位生産している会社です。
今回のウオン安の影響と不況で、他のフローリングメーカーが廃業したり、生産量を縮小し
ている中で、現在韓国3番目の生産量を維持している(1ライン当たりではトップの生産量)メ
ーカーです。他社に無い水性着色ラインを導入したり、フローコーター仕上げによる厚塗りで、
塗膜硬度の高い商品を生産している開発力のあるメーカーです。
2年前に精一機械から水性着色ラインとUV下塗りライン(旧ラインの入れ替え)を導入し、
昨年上塗ライン(旧ラインの入れ替え)を導入して、より高級仕上げが出来る多用途の塗装
ラインで、有効幅1000mmW・30m/分のライン速度の最新の自動ラインを完成させました。
一方、HPLの商品開発は5年前位から行われており、現在韓国の一部の市場に試験販
売されているフローリングですが、表面材は韓国で従来から一部商品化されているフェノール
含浸紙&化粧紙ベースのメラミン化粧シート張りフローリングに近い物性(硬さや耐久性)を
持っていますが、化粧紙の変わりに天然木単板を使い、表面のメラミンシートの変わりに特
殊なクリヤーフィルムを使い、高圧ホット&コールドプラス加工により、天然木単板を樹脂化
する技術です。
この、シートを台板合板に貼り付ける事でフローリングを生産するのですが、最大の特徴は、
従来のWPCのフローリングに比べて、コスト面では安価であり、より表面硬度が硬く、その他
の物性に関しても上まわるようですが、表面特殊フィルムが完全なクリヤーである事による、
天然単板の木目が鮮明に表現される事と、表面へのUV塗装仕上げが可能な事で、メラミ
ン表面とは違った表面質感(一般の天然木張りUV塗装仕上げフローリングやWPC商品と
同等)が得られるようです。
又、天然木化粧単板の変わりに樹脂含浸を施した印刷化粧紙を使い、近年日本で増
えてきているオリフィン印刷紙張りフローリングをターゲットにした、商品の開発も行われており、
より低コストで、同等の質感を持ち、物性的にははるかに良い商品に仕上がっているようです。
現在、シートの量産設備を設置する計画が進んでおり、低コストで高品質のフローリングを
提供するようにしようとしているようですが、自社のフローリングに使用するレベルでは量産化
の目的が達成できないようで、用途もフローリングの表面材のみではなく、家具向けや、キッ
チン周りの部材・壁材(木質&窯業系)等にも広げられる可能性をもっており、今後はシート
単体での販売もしていく計画を持っているようです。
以上、私が聞いてきた情報の範囲ですが、興味のある方はご連絡いただければご紹介で
きると考えております。
2009年09月10日
車田 修