中国レポート
山東省威海市訪問
11月に入ったのに名古屋でも最高温度が20℃を超えた日が続き、最低温度も15℃
以上あるなんとも過ごしやすい天候になっていますが、日本全体が温暖化の影響を受けて
いるのか季節感がずれてしまいそうな気がしています。
中国・広東省もやっと猛暑から脱して少し過ごしやすい季節になってきていますが、先日
少し寒さが押し寄せてきている、中国の山東省にある威海市に行ってきた時の感想を今回
はレポートしたいと思います。
山東省の威海は山東半島の東部一帯にあり、黄海を挟んで北には遼寧半島の先端に
位置する大連があり、北西方向に天津、東には朝鮮半島の仁川、南には東シナ海に面し
た上海があり三方向海に囲まれた風光明媚なところです。 日本の茨城県から福島県あ
たりと同じ緯度に位置しており、四季がはっきりしており気候がとてもよく、海と山に囲まれて
景色が美しく、公害も少なく空気・水質、騒音などの環境基準はすべて国が定めた基準
を上回り、中国における有名な観光・避暑、療養地として認識されています。
私は、6年前位にフローリング設備の話でこの地を訪れたことがあり、市内中心部も開発
途中でしたが、きれいな街並みと美味しい食事の記憶だけが残っていました。 今回は市の
中心部ではなく南部の方を訪れ、新しい都市作りをしている地域を視察させてもらいました
が、砂浜の海岸と松林が続く一角に数十万人が住める新都市を建設しつつある場所で、
民間の資金を中心に市政府との協力の元に進められている大型のプロジェクトだと言ってい
ました。
立地条件をベースに、貿易や中国における海上輸送の拠点として開発されており、大型
のコンテナー船が寄港できるコンテナー基地の建設も並行して進められています。 人口約
300万人の威海市におけるリゾート的な理想的住環境を維持した、高級住居と道路建
設という形で現在着々と街づくりが進められています。
威海市は2005年の中国で一番住みやすい都市として認定されておりますが、工業も
機械・電子・化学・建材・紡績等を中心に、小型木工用機械の生産量は中国1位となっ
ており、タイヤ生産量に関しては中国2位という軽工業中心の都市で、中国では珍しく環
境と産業のバランスが取れている地域です。 水産物、農産物も豊富で、最近の低迷しつ
つある中国経済の中でも、GDP等の経済成長率等は高い水準で維持されているようで、
中国の平均的な経済低迷の報道が目立つ状況とは大きく異なる地域もまだまだ多くある
のだという認識を新たにした威海の訪問でした。
今回の威海視察の中で一民間企業が、新都市作りを主導している形態があることにお
どろいたのですが、中国は全て中央政府や地方政府が計画的に都市作りを進めており、
そこに民間の不動産開発業者が乗っかって、土地の摂取や賄賂の温床となって社会問題
化していると思っていたのですが、今回の威海での開発形態がすべて民間の一企業を中心
に進められているとの事で、しかも単純な不動産開発ではなく地域の産業と環境を融合し
た開発計画が進められている現実を見て、単純に中国という国においてこのような方法が
れること自体に驚き、又真実としてどのようなカラクリがあるのだろうと疑ってしまう考えが頭を
過ぎるのは、一部の情報に制限されているからなのかもしれません。
いずれにしても、広大な面積を持つ国土と13億と言う人口を抱える超大国を一つの尺
度で判断する傾向がある日本の報道にも問題があるのでしょうが、平均的な経済状態指
標が減速したとはいえ、未発展地域と低所得者層における潜在的な需要を考えれば、ま
だまだ中国における住宅産業に関しても商機がなくなってきているとは考えないほうが良い
のかもしれません。
11月11日から14日の期間、名古屋のポートメッセなごやにおいて日本木工機械展が
開催されます。先月お伝えしたようにアドペックも杉井鉄工所のブースにおいて電子点灯
UV照射装置の展示を行いますので、是非お越しください。
2015年11月10日
車田 修
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