中国レポート
ギリシャ財政危機と中国上海株暴落
名古屋は梅雨が長引きそうで、雨の日が多くに日中も25℃前後と湿度は高いものの、気
温的には過ごしやすい日が続いていますが、中山市に今月初めから来て、その温度差に体
がついていかない状況の中、クーラーが効いた部屋から出たくない一心でこの文章を書いてい
ます。 日中の外気は35℃をはるかに超え40℃越えに迫りつつあり、1週間以上雨が降っ
ていない状況から、地面と建物が蓄熱暖房機となり深夜から早朝にかけても30℃を切るこ
とはありません。今月末か来月にかけては気温も40℃を超える日が出てきて、中途半端な
スコール的な雨は高湿度状況を演出し、なぜこんなところに人が住んでいるのかと疑問が頭
を時々かすめるのですが、多くの人々にとって住めば都です。
ヨーロッパではギリシャの財政危機が報じられ、IMF(国際通貨基金)への16億ユーロ(約2
200億円)の返済ができない事で、事実上の債務不履行に陥り、EUからの金融支援は失
効しました。5日に行われた国民投票ではEUの再建策受け入れを拒否する反対派が勝利
し、ギリシャのユーロ圏からの離脱の可能性がいっそう高まっているようです。
一方中国では上海株が暴落して、3週間で29%の下落により32億ドル(約3900億円)
が消えてしまったとの報道がありますが、ギリシャ一国の借金返済の金額よりこちらの方が多き
いのかと、考えて比較することはよくない事かも知れませんが、このようなお金の問題は数字が
独り歩きしているようで私ども庶民感覚では理解を超えている事は間違いないようです。
中国の株価下落にしてもこの一年余りで上海株は2倍以上高騰しており、今年6月12日
に最高値を付けた後急落したのですが、急騰した前の数字迄暴落しているわけでもなく、何
が問題なのか理解できませんが、中国株式市場は過去にも暴落と急騰を繰り返しており、今
回もたぶん政府指導で起きた株の急騰と急落で故意的に借金をさせてまでも株を買わせ資
金調達を煽ったのでしょうが、お金が一番と考える人が多くを占める中国の現状を上手く捉え
た結果なのでしょう。
一年で株価が2倍にも膨れ上がる経済基盤がどこにあるのかを冷静に考えればわかると思
うのですが、上がり続ける株価につられてまだ上がると思って最近買った人はかわいそうなのか
もしれませんが、人の金銭欲とは困ったもので、中国では不動産投資に関して過熱気味だと
いう事から金融引き締め策を打ち出し、資金調達に困った不動産業者は高金利をうたい文
句に一般の人から資金を調達する手法に切り替え、多くの金に目がくらんだ人々が借金をし
てまでお金を集めて投資し、それが破綻して社会問題となっている事も報道されています。一
カ月の金利が2%を超えるなんて言う話は詐欺以外に無いことは冷静に考えればわかると思
うのですが、その不動産業者も建築マンション等が順調に売れれば何とかなるという、勘定で
行動した結果かもしれません。
ギリシャの問題にしても、中国の株価下落の問題にしても一応国際問題として取り上げられ
ていますが、日本における経済に関しての影響は限定的と判断しているのか、大きな報道に
はなっていません。長期的な観点からはこのような問題が今後私たちの生活や仕事に関して
何らかの影響があると思いますが、他の多くの世界や日本国内における諸問題の方に人々の
関心の目が行き、小さな通過点に過ぎない事なのかもしれません。
中国においても、この株の下落が社会問題として大きく取り上げられている事はなく、関係な
い人々は一部の金持ちのマネーゲームだと判断しているのが普通でしょうが、各地で自殺者が
相次いでいる報道も一部あり、金持ちのマネーゲームレベルに一般の中間所得者や借金して
まで投資した人がいるのだと思わせる報道です。
中国の中間層といわれる人口が増えてきていますが、いまだに人口の20%程度だと言われ
ており、中間層は自家用車を買える階層だと考えれば、今の中国の乗用車の保有台数が1
億2000万台となっており、平均家族構成からその数字を裏付ける結果になると考えられます。
私どもの中国沿岸都市部での生活においても、物価の上昇は急激で生活水準は日本に比
べて高いレベルになっていると最近特に感じていますが、乗用車にしても15万元(300万円)
クラスが一番売れているようで、マンション価格は安い物件でも100m2程度で地域によって大
きな差がありますが、50万元~150万元(1000万円~3000万円)と日本と変わらないか、
地域によっては300万元(6000万円)以上と又、高級物件は上限がないのではと思われるく
らいの価格の物件もあるようです。
1ドル80円時代が懐かしく、実際には中国の物価もそれほど急騰している訳ではないのです
が、1ドル130円の今は、私たちから見れば確実に中国の物価は50%高騰していることにな
り、自力では何ともならない現実を受け入れていくしかない事も、誰かのマネーゲームの犠牲に
なっているような気がします。
2015年07月10日
車田 修
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