中国レポート
「近年の春節」
日本（名古屋）は２月４日の立春が過ぎてもまだまだ寒い日が続いていますが、中国広
東省（中山）は日中２０℃近くになる日が多くなり、結構過ごしやすい季節に入っています。
今年は昨年のような１０℃を切る日が長く続く事もなく春節を迎える事になりそうです。
今年の中国の正月（春節）は２月１９日となっており、法定的には２月１８日の大晦日から
２月２５日までが休日となり、２月１５日の日曜日と２月２８日の土曜日は振替出勤日とな
るようです。
官庁や企業の正規の休日は法定に準じていますが、現実にはまだまだ春節の２週間前
から春節明けの２週間後までは、長期休暇を取る人が多く業務がある程度停滞してしまう
のは仕方がないと考えられているようです。 精一機械も地方出身者の多くはかなり早めか
ら休みを取っているようで、工場も何か人が少ないように感じます。
中国の学校も日本に比べて冬休みは長く、小中高は約１か月で大学は長いところは２か
月の休日とするところもあるようです。 最近は帰省で人が動く事は従来とあまり変わらない
のでしょうが、ここ数年においては、5～６年程前の混雑とはかなり様相が違ってきていると考
えられるのは、高速鉄道の普及により鉄道での移動時間の短縮と大量輸送が可能になり、
賃金上昇に合わせて利用率が急速に増えてきており、航空機利用もかなり増えている事が、
中国の春節民族大移動と言われた形が大きく変化してきているのだと思います。
しかし、その高速鉄道の切符を手に入れるのがなかなか簡単ではないようで、正規の休日
に移動するのが難しい状況は改善される事はなく、早めに帰省してしまう人も多いようですが、
高速鉄道の普及は春節以外での帰省も短時間で可能になっており、徐々にあえて春節の
混雑して物価も高い時期に帰省しなくても良いと考える人も出てきているようです。
中国の家族構成も１5年という年月でかなり変化をみせており、都市部においては核家族
化が進み、地方からの出稼ぎ労働者も減少傾向が表れ、地方出身者が都市部で家庭を
持ち定住する人も、法律の壁はまだまだあるものの増えてきている事は間違いないようです。
日本も昔は正月と盆には田舎に帰る事が当たり前の時代から徐々にそれらの習慣も減少し
てきたと同じように、中国においても環境インフラの整備と変化や急激な賃金上昇において、
人々の考え方も多様化してきていると思います。
中国においては全国的に高速道路の普及はかなり進んでおり、自動車の普及と賃金上
昇による車社会への急激な変化は、春節の時期の高速道路の慢性的な渋滞を起こして
おり、日常的にも北京や上海の大都市は数年前から道路の渋滞がピークをこえており、大
気汚染の問題も含めて社会問題となり政府の取り組みの遅れから、いまだに方向性が出せ
ない状況になっていますが、地方都市においても朝夕の自動車の渋滞が問題視されてき
ており、車の増加に道路の整備が追い付いていない現象が多くの地方都市部で起こってい
るようです。
中国のここ数年における賃金上昇は、数年前の富裕層の特権であった海外旅行におい
ても渡航人口が急激に増えてきており、この春節時期に海外に旅行する人もかなり増えて
きていると言われており、円安の影響もあるのでしょうがその第一希望が日本だとの事で、
１月に入って春節前の日本行きの航空券が急騰しており、通常時の3倍位になっていると
の報道もありました。 逆に日本人は航空券の金額が高くなって帰省できないと・・・・。
このように、中国の一般の人々の動向も春節時の民族大移動と言われた数年前に比べ
て大きく急激に変化が起きている事は間違いなく、いかに交通網（高速鉄道）の整備の影
響と賃金上昇が人々の思考行動に大きな影響を与えるかを、目の前で現実として見せ
つけられており、多くの問題もあるにせよ政治力が経済と人々の生活や思考をも大きく変化
させる、中国共産党の１党独裁制度が悪いとは言い切れない現実をこの１５年間見てきて
いますが、これからの１５年をどのように切り抜けていくかを見続けるのも、楽しみでもあり心
配でもあります。
２０１５年０２月１０日
車田 修
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