中国レポート
円安影響
2014年も最終月となり、急激に気温も下がってきています。 中国中山市との気温差
もこれから来年3月くらいまでが一番高く、平均10℃位、最大時には20℃以上あります
ので行ったり来たりの生活も結構きつい季節となります。 日本円も気温と同じように下がり
続けてきて、120円/1US$まで下落、中国でのRMBへの換金は10000円で500
RMBを切るところまで行っています。 日本からの出張者にはきつい状況がとうぶん続くと思
われますが、中国からの出張者にとっての日本での買い物は、良いものを安く手に入れるチャ
ンスなのかもしれません。
為替の変動は、私どもにはどうしようもない動きなのですが、生活や仕事に関しては大きな
影響を与えるもので、特に私どものような中国生産で日本への販売をメインに行っている者
にとっては、死活問題に発展しかねない重要な事項となっています。 ゆっくりした変動は、
販売価格を為替変動に連動させていけば問題ないのですが、急激な変動は大きなリスクと
して襲いかかってきます。
最近の傾向として、円高時には日本国内の景気低迷により設備投資は少なくなり、せっ
かく中国生産での価格が抑えられ価格競争力があるのに販売は低迷する傾向となります。
又、円安時には日本国内の景気が上向き設備投資も増えてきますが、仕入れ価格が上
がり価格競争力が落ちて利益確保が難しくなります。中国国内の景気も下降傾向にある
中、私達の業界においても競争が激しくなってきていますが、人件費の高騰と人手不足から
省力化・自動化の設備の受注が増える傾向にあり、精一機械においてもコスト管理・品質
管理を強化していく絶好のチャンスととらえています。
この14年間を振り返ってみても、JP円-US$の為替変動は大きく動いており、2000
年の1月に103円/ドルだったものが、2002年1月には132円/ドルまで2円間で30
%以上の円安になりました。その後は徐々に円高傾向となり、2007年頃までは102円
~120円/ドルの間での変動である程度落ち着いていたのですが、2008年1月に110
円/ドルだった相場は2009年1月には92円/ドルまで円高が急激に進み、2011年~
2012年にかけて80円/ドルを切るまでの円高は、さすが日本国内の景気を鈍化させ価
格破壊と言われる現象を巻き起こしました。
2012年年末に自民党政権に復帰した日本の政治体制が打ち出したアベノミクスにより、
政治主導で円安・株高に誘導され、国内景気は少しずつ回復傾向にあると言われていま
すが、やはり2001年当時と同じように2年間で急激に円安が進み、輸出主体大企業の
為替利益を裏目に、11月には中小企業の円安倒産が昨年の2.3倍となり、過去最多を
3か月連続で更新したのですが、政治の世界は選挙にまい進しており放置状態がしばらく続
くかもしれません。政治主体で円安に誘導するのであれば、このような円安倒産が起こるのを
未然に防ぐ対策を取るべきだと思うのは甘い考えなのでしょうか・・・・・。
過去15年の為替変動だけをとらえての判断は危険でしょうが、今の円安が異常なもので
はないのは明らかなのでしょう。 しかし、対中国を見た場合日本の円安傾向だけではなく、
中国元(RMB)は対ドルに対しても上がってきており、2000年に13円/RMBだったもの
が2012年までは円高傾向が中国元高を相殺する形で13円~15円/RMBの範囲で
安定していたのですが、最近の円安が急激に対中国元に対しても変動してきて、現在20
円/RMBになっています。
中国生産コストは、為替の変動幅だけで2010年比で13円/RMBから20円/RMB
と1.5倍以上となっているのが現実で、この間での中国の人件費は2倍以上に跳ね上がって
きており、安さを求めた中国生産はとっくに終わっている事が理解できると思います。現時点
の円安傾向は当分続くと考えていますし、極端な円高にはとうぶんならないと思います。
しかしながら、日本での生産と比較した場合円安と日本の景気回復に合わせて、当然原材
料費が値上がり、人件費も上がってくる傾向となる事や、日本国内における設備需要の低
迷傾向が大幅に改善される事は期待薄だと思いますし、中国国内での需要が不燃建材関
連及び省力化や自動化を含めての設備需要は増えてくると思われる事と、今後需要が大
きく伸びると期待されている東南アジア地区への販売を含めて、当面中国での生産を継続
させる事と、その生産拠点での効率化と品質面改善及び開発や販売体制を含めた改革が
今後のもっとも重要な取り組みになると考えています。
2014年12月10日
車田 修
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