中国レポート
日本への中国人観光客増加
名古屋地区では朝夕の気温も20℃を切る事もあるようになり、過ごしやすい季節になっ
てきましたが、9月27日に突然御嶽山が噴火して多くの犠牲者が出ました。改めて自然の
驚異に対する人間の無力さを感じていますが、ここ数年間の地震・津波・大雨・土石流・洪
水等の自然災害が続いている中の今回の火山噴火は、多くの人が予想もしない場所で突
然起こった事や、紅葉の季節と土曜日の午前11時53分という、時期と時間帯がより多く
の犠牲者を出してしまった原因だと思います。犠牲になられた方々や関係者の方々に心か
らお悔やみとお見舞い申し上げます。
日本には110山の活火山が存在し世界の7%という数なのですが、それらが日本の美し
い自然を形成して多くの観光名称になっています。四季がはっきりしている事での季節の移
り変わりにおける景色の変化もその観光資源として存在していますが、自然の美しさと自然
の驚異が隣り合わせで存在する事を忘れてはいけないのだと感じています。
日本政府は2013年6月の閣議決定・日本再興戦略の中において、2011年3月11
日の東日本大震災と、福島原発崩壊による急激な外国人観光客減少から、回復基調に
ある事もあり、2013年には訪日外国人旅行者数1000万人を達成し、その後2000万
人を目指し、2030年には3000万人を超える目標を国策として遂行する事を決めていま
す。日本訪問ビザ等における多くの緩和策を打ち出しており、タイやマレーシアはビザ取得免
除、ベトナムとフィリピンに関しても緩和する方向を打ち出し、2013年は韓国246万人、
台湾221万人、中国131万人、その後に米国・香港・オーストラリア・タイ・イギリス・フラン
スと続くのですが、全体で1000万人を突破しています。
中国人訪日旅行者数は、中国の経済発展に伴い急激に増加して2008年に100万
人を突破し2010年には141万人に達したのですが、震災と原発の問題で11年には104
万人まで減少しました。2012年の尖閣諸島国有化を起点とする日中関係悪化の影響か
ら、2012年に142万人に戻ったのですが、2013年は131万人と減少傾向となっていま
した。しかし今年は政府間において日中関係が正常化していないにも関わらず、今年に
入って急激に増加しており、1月~7月の集計では129万人を超えていると発表されており、
10月の中国の国慶節と中秋節を絡めた大型連休(9月30日~10月7日)には多くの中
国人観光客が日本を訪れる予定になっていると言われています。
急激に円安が進んだ事や中国での観光法の施行により、現地で強制的にオプショナルツ
アーに参加させて料金を取る事や観光客を各種販売店に連れて行き強制的に買い物をさ
せる事が禁止され、東南アジアや韓国への旅行会社のツアーの安売りが全面的に禁止され
たことで、もともとそれらのツアーが設定されていない日本への割高だったツアーが見直された
事が増加の一因だとされていますが、多くの中国人富裕層は中国政府が誘導する反日感
情をあまり真に受けていない事や、中国国内におけるメイドイン中国に対する不信感からメ
イドイン日本への信頼性を重要視する傾向(日本メーカー製でも中国製造品は良くないとの
見解)から、買い物を中心とした観光客が多くを占めているとも言われています。
日本政府は今年10月1日から免税店制度を大幅に変更し、現在免税対象となっている
家電、装飾品、衣類、靴、かばん等のほか、現在免税対象から除外されている食品類、飲
料類、たばこ、薬品類及び化粧品類等も含め、全ての品目が免税対象となりました。都市
圏に集中していた免税店も、地方での免税店を大幅に増やす方向で進められており、観光
客が認識しやすいような免税店シンボルマークの創設も進められています。
中国人旅行者は特にリピーターが多いと言われていますが、年間に200万人と言う中国の
人々が日本を訪れ、その目的が買い物であれ観光であれ、何らかの形で日本の文化と日本
人に直接接触する事で、日本に対する理解が深まり多くの親日中国人が生まれていく事に
繋がる事を期待していますが、政府間の政治問題や自然災害における影響がお互いの民
間における交流や、個人的な繋がりを破壊する方向にならないような社会や国家である事
を願っています。
2014年10月10日
車田 修
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・