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アドペックグループの活動状況報告並びに、住宅関連情報を発信させて頂きます。
内容
(1)中国人の「忍耐力と自立心」
(2)住宅関連情報
住宅・建材・家具・不動産等についての公開記事を中心に1ヶ月分をリストア
ップ し
て発信します。
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・・・・・(1)中国情報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
中国レポート
中国人の「忍耐力と自立心」
10月に入って秋らしくなると思いきや、残暑なのかまだ夏が終わっていないのか解らない
ような天気が続いていますが、山の紅葉は確実に進んでおり季節は確実に変わってきてい
るようです。
中国の北京や上海の大都市における大気汚染もひどくなる一方で、改善策はなかなか
具体化されていないようで、日本の福島原発の汚染水問題に関しても改善されるどころか
先行きが見えていない状況が続いているのに、消費税の3%増税・復興税の廃止だとか、
アメリカでは予算案が採決されないまま財政破綻が起きてしまうのではと、世界の政治を扱
う人々はそれぞれの国民の生活の安定や安全性を第一優先として考えるのが本業だと思
うのですが、庶民の考え方とは違うのかもしれません。
今回は、中国における戸籍(戸口)制度に関しての話ですが、詳しく調べての報告ではな
いので間違っているところもあると思いますので、細かいところは無視してください。
中国は1957年にできた戸籍制度を現在も継続させており、二つの社会制度ともいえる
城市戸口(都市戸籍)と農村戸口(農村戸籍)があり、もともとは農村から都市への人の流
入を厳しく制限する目的で制定されたのですが、中国の中に二つの異なった世界を作り出
してしまい、これが世界最大の格差を持つ大国にしてしまった元凶だと言われています。
国有企業労働者・幹部・知識人などを主体とする都市住民は給与や定年後の年金を
保証され、医療・教育・育児などの社会保障を与えられたのに対し、農民には同等に与え
られず、大きな格差社会を作ってしまった原因になっていますが、その歴史や現在までの変
異は多くの報告がネット上にもありますので興味のある方は調べてみてください。
開放政策以降の農村部から都市部への人の移動が緩和されて以降、農民工と呼ばれ
る多くの人々が働き口を求めて都市部に出稼ぎ労働者として移住して来ましたが、最近の
地方都市での工業化や企業に義務付けられた社会保障制度によって、故郷に帰る人々
も増えているようですが、現在も2億人程度の農民工と言われる人々が都市部で生活して
いると言われています。
現在中国政府は全国統一居住許可制度を検討しており、この悪名高い二重戸籍制
度の廃止を検討しているようですが、農地の占有許可制度の問題での農村部の都市化
における強制収容やそれをめぐる地方政府の不正問題が表面化してきており、これまで放
置してきた都市部への人の流れや現実の居住を把握しきれていない事もあり、その実現に
は相当な時間がかかると思われます。
これらの農民工の問題や農地の不正収容での暴動等は時々ニュースで取り上げられて
いますが、戸籍問題はこれらの農民戸籍の問題だけではなく、都市戸籍を持つ一般労働
者においても種々の問題が発生しており、国営企業解体による民営化と外国企業の誘致
や民間企業の台頭により、多くの人々の中国国内での移動が当然の事として起きています
が、就職等で別の市から移住した市においては簡単にその市の戸籍を取得する事は難しく、
それぞれの市は独自の制度において戸籍の発給制限をしており、教育や社会保障・医療
保険・市民サービスに関して、もともとそこの市の戸籍を有している人々と同等な扱いがされ
ないという差別問題が表面化してきています。
このような問題は大都市ほど厳しい制限があり、上海市では地方出身者に対して正式
に居住許可を出している人数は37万人、許可証を持たずに上海で暮らす人は897万
人と言われており、当然のこととしてこれらの人は本市民と同等の市民サービスが受けられ
ず、子供の教育も医療に関してまで差別されているのが現実で、正式の居住許可証を
取得している人々も年金に関しては戸籍所在地でしか受け取れない事から、まともに全
額もらえない事になるそうです。
中国における共産党の一党独裁の社会主義のシステムが、環境問題や食の安全問題、
政府官僚の多額の賄賂事件、戸籍問題による差別等、多くの問題を抱えながら人々に
支持されないまでも60年余継続してきていて、崩壊まじかとか言われている割には市民生
活は見かけ上安定しているように見え、少数民族問題や農村部での暴動等は存在してい
ますが、一般の人々の生活は淡々と続けられており、政府の制度や差別に対して多くの不
満を抱えていながらも表面上は何事も問題がないように、都市部では日本以上に豊かな
生活を営んでいる事に最近特に不思議な国だと感じています。
中国の人々は歴史的にも昔から様々な独裁者によって統治されてきており、現代も共
産党と言う表面上の平等社会主義を唱える独裁組織によって統治されているだけで、
長い歴史上のほんの一瞬の時代が今なのかもしれません。そのような歴史の中において
中国の人々は国や制度に頼っていては何も道は開かれないという考え方が根底にあり、
そこに忍耐力と自立心が生まれ今の金銭第一主義的な考え方もそこから出てきているの
ではないかと思います。
日本では政府や制度・会社や組織に頼ることが当たり前の基準として生活している人々
が大半を占めていると思いますが、中国では近年において特に家族や親せき・近所の人
々との人間関係を密にした相互扶助の考え方が定着しており、国と言う大きな権力には
逆らわないが期待もしない、しかし自分の生活は自分で何とかしていくという自立心に関し
ては世界に類を見ない民族なのかと思いますし、儒教的な背景があるのかもしれませんが
家族や親戚との金銭的な事を含めた助け合いの考え方は、今の日本では失われつつあ
る大事な人間関係が続いている事になるのかもしれません。
中国と言う国を見るにあたって、現中国政府と言う巨大化した組織が行っている改革が
どのような方向に行くことになるのかを見守る事も必要なのですが、それらとは連動しないで
かい離した、そこに暮らす人々の根底に流れる考え方や、今後の変化を正確にとらえる事
がもっと大事な事なのかもしれません。
2013年10月10日
車田 修
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